「作業する前」の準備を軽くみてはいけない

準備をしっかり行う。項目を絞って集中的に行う。いつまで、の期限を決める。時短成功のポイントは、じつにシンプルだ。これをうまく真似して自分のものにしてしまえばいいのである。

順番的には、やるべきことの優先順位を決めるのが第一。準備を手際よくやるには先に期限を切るのが賢明だろう。いま何をやるべきか→いつまでにやるか(準備期間と作業時間を別々に設定)の考え方だ。

ビジネスマンならそんなことは普通にやっていると思うかもしれない。優先順位をつけるのは当然のことだし、期限も切っている。それでもこなせない量の仕事があるのだと。

では準備に関してはどうだろうか。一刻も早く作業に取り掛かろうとするあまり、準備を軽くみてはいないだろうか。たとえば、必要な資料をそろえることが準備だ、というように。

▼戦略を立てることも「準備」のうち

筆者は公判前整理手続の最大の効用は、時短だけではなく、裁判が始まる前に資料の手配や吟味を行い、戦略を練った上で本番に臨むような習慣が根付いたことだと考える。準備が十分できれば、審理(ビジネスマンにおける作業)はラク。たとえ望ましい判決が得られなかったとしても悔いのない戦いができるはずだ。

逆に、戦略があやふやなまま審理に入ったら、体勢を立て直す機会もないまま相手に押し切られてしまうだろう。準備とは作業をうまく行うための戦略まで含むもので、それができていないと、作業中に方向転換を余儀なくされたり、最初からやり直しになる可能性を抱えたまま見切り発車したりということにもなりかねない。