そしてイタリアでも昨年末、トランプ大統領勝利の直前に憲法改正の国民投票があった。マッテオ・レンツィ前首相による憲法改正案すなわち上院・下院改革案の是非だが、イタリア国民はこの「レンツィ改革」にノーを示し、レンツィ氏は首相を辞任した。そしたら読売新聞をはじめとする「ポピュリズム」というワード大好きメディアは、イタリア国民投票でレンツィ改革が否決されたのはポピュリズムだ! と国民の判断を批判した。すなわちレンツィ改革は賛成されるべき、実行されるべきだとね。

これこそポピュリズムという言葉を使った政治批判がどれだけ薄っぺらいものであるかの分かりやすい証左。あれだけ大阪都構想については「改革の中身が分からない」と批判し続けていた読売新聞がレンツィ改革に賛成だなんて、笑っちゃうよ。

読売新聞はまず、イタリア・五つ星運動が大嫌いなんだよね。特にEU離脱という動きが大っ嫌い。EUは絶対的に正しいと信じ切っている。ゆえにEUに反対する者は全て悪なんだよね。これが読売新聞の絶対的な結論。

レンツィ改革に反対していたのは、EUからの離脱を掲げるイタリア・五つ星運動。五つ星運動には確かにレンツィ首相(当時)を追い込むために国民投票において「レンツィ改革反対運動」を展開していたという側面はある。それに対して読売新聞は、EUに反対する者には全てポピュリズムとういレッテルを貼って悪と決めつけ、レンツィ改革に反対することを批判した。そこにはレンツィ改革の中身の検証なんて全くない。

実はレンツィ改革の中身をきっちり検証すると、この改革は大問題を内包していて、そう簡単に賛成できるシロモノではなかった。むしろ反対されて然るべきというか、今の段階では否決された方がイタリアにとってはよかったんだよ。

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.44(2月28日配信)からの引用です。全文はメールマガジンで!!

(撮影=市来朋久)
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