訴求ポイントは「おいしい」「簡単」「ヘルシー」
訴求するポイントはシンプルに3つ。調理家電の最大のポイントである「おいしい」こと、使い方が「簡単」であること、そして「脱油・脱塩効果」による「ヘルシーさ」だった。
筆者はヘルシオ グリエで調理(加熱)した冷凍唐揚げやクロワッサン、おそうざいのエビ天、ウナギの白焼きなどを試食している。さすがに作りたてを上回っておいしくなることはないが、どれも外はサクッとしつつも、中はしっとりと温められて、作りたての状態に迫るおいしさだ。電子レンジで温めた時のフニャフニャした食感とは一線を画している。
「クロワッサンをヘルシオ グリエで温めると本当においしいです。特に自信があります。惣菜パンなども買ったその日はおいしいのですが、水分が蒸発するとおいしくなくなってしまいます。でもヘルシオは水分を加えながら焼くので、中がしっとりとするんです。エビ天も電子レンジではどうしてもベトッとなってしまいますが、これなら揚げたてに戻ります。冷凍唐揚げの場合、電子レンジでもなかなかうまくいきませんし、トースターでは中に火が通らないことが多くあります。便利な食品はたくさん出ているのですが、それをできたてには戻せません。それを過熱水蒸気でよみがえらせるというのが、この商品の最大のポイントです」(田村氏)
操作も簡単だ。火加減は「弱」「中」「強」の3通りで、タイマーは30秒から15分まで選べるようになっている。本体上部に水タンクがあるので、取り出して水を入れてセットする。あとは「温度切替」ボタンで火加減を選び、ダイヤルを回して調理時間を選択すればいい。使い勝手としては、単機能の電子レンジやトースターに近い。「ウォーターオーブン(通常のヘルシオシリーズ)は大きくて何でもできますが、操作も複雑と言えば複雑です。でもこれは火加減と時間だけなので、どなたにもサッと使っていただけます」(田村氏)
調理時間が短いのもうれしい。通常のヘルシオシリーズは庫内容量が大きいので、予熱だけでも時間がかかってしまう。トーストを焼く前に10分から15分もかかってしまっては、トースターとしては役に立たないだろう。しかしヘルシオ グリエはコンパクトなので予熱の必要がなく、従来型のトースターと同程度、パンを焼くなら3~4分で調理ができる。
火加減は「弱」が180度、「中」が200度、「強」が250度の設定になっているが、本体にはその表示はない。感覚的に慣れていけば問題ないが、他のオーブンなどで慣れた感覚をそのまま持ち込めないのは残念なところだ。内部にはヒーターが設置されているが、これは庫内の温度を一定に保つために用いるもので、補助的な位置付けとなっている。
3つめのポイントが「ヘルシーさ」だ。おいしくて簡単なだけでなく、塩分や油分がほどよく抜けるので健康的にも良いというもの。90度のサウナに10分から15分滞在してもやけどをしないように、空気はものに熱を伝える力が弱い。それに対し、90度の熱湯に手を入れればたちまちやけどをしてしまうように、水は熱を伝える力がはるかに大きい。過熱水蒸気はその力を用いて食材の中まで入り込み、食材に熱を伝えると水に変わる。
「そのときに食材の表面だけでなく、中からも油を出していくのです。空いた部分に水分が入るので、カサカサにはなりません。余計な油だけ落としてジューシーになるというのが、過熱水蒸気調理の大きな特徴です。役員向けの企画会議では、このようになりますと試作機を使って提案しました」(田村氏)