デザインのポイントは「水タンク」

ヘルシオ グリエは全体的に丸みを帯びたデザインで、鮮やかなレッドのカラーリングも印象的だ。「デザインは企画会議の前段でやっており、この企画書は役員を入れた最終決定のため、すでにデザインは何度も何度も練り直しています。生産するためには金型を起こさないといけないので、そのゴーサインをもらったのがこの企画書を出した2015年12月でした」(田村氏)

デザインで気を付けたポイントは、「水で焼く」というコンセプトの分かりやすさ。「水タンクですね。ウォーターオーブンはパッと見で他社商品と雰囲気に大きな違いはありません。それを乗り越えるため、水を使うということをしっかりと習慣づけるため、タンクにはこだわりました。それから窓です。暖炉のようなクラシックなイメージで、お客さまになじみやすいような形状にしています。ロゴもヘルシオの原点に戻り、『Healsio』の『I』の形を水を強調する形にしました。元々は(健康志向が高い商品なので)年配の方に購入されていましたが、若い層にもウォーターオーブンを広げたいということで、赤は赤でも少しライトな方向にしました。この企画書の段階でそのあたりも決めてありました」(田村氏)

中に食品を入れたら、水タンクに水を入れて(約40ml)上部に押し込むと、それがスイッチ代わりになり調理ができる。シンプル操作と「水で加熱」を意識させるためのインターフェースだ。
ヘルシオ グリエの発売に合わせて「ヘルシオ」のロゴも変更。「I」の文字のデザインを、水を強調する形に変えた。

発売前には、東京と大阪で社内外の人を招いたヒアリング調査も行った。食生活の傾向や、実際に試作機で調理した食品を試食した感想、実際にどのくらいの価格なら購入するかの意向などを調査した。

「大阪の方が値段に厳しく、東京の方がバランス良く購入意向がありました。でも発売してからは順調で、首都圏だけでなく大阪や、もちろん地方でもまんべんなく売れています。年齢層も幅広く、独身や単身赴任の方も多いです。私の母も買いましたが、シニア2人暮らしなどでは家で揚げ物をやらないんですよ。でも肉などは結構食べますよね。中食で済ませてしまうことが多いというので、完全にはまっています。ヘルシオのコアユーザー層は40代から50代でしたが、60代以上まで上の層にも広がった感があります」(田村氏)