誰も責任を取らない「東芝問題」の行方

実際、16年に東証や名古屋証券取引所に新規公開した企業は87社前後と、15年の98社に比べて減少した。11年の37社から、12年48社、13年58社、14年80社と増え続けてきたものが一服する。東証関係者によると、上場審査を慎重にしたことが影響しているという。

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東証1部上場企業数は初めて2000社を突破

新規上場数が増えれば、主幹事証券も監査法人も、上場する東証自身も儲かることになる。逆に、数を絞れば、そうした企業の収益増にブレーキがかかる。ついつい新規上場ありき、になってしまう傾向があるわけだ。そこを「上場ゴール」の経営者たちに見透かされるのである。

しかし、投資家に損をさせるような問題企業ばかりが上場してくることになれば、株式市場全体の信用がぐらついてくる。あそこのマーケットは腐ったリンゴばかり置いているとなれば、誰もマーケットにはやってこなくなる。つまり、信用を守ることが取引所にとっては生命線になるのだ。

では、どうやって取引所はその信用を守るべきか。もちろん、事前の審査を厳しくして、「腐ったリンゴ」が市場に紛れ込むことを防ぐ必要がある。だが、それだけでは難しい。「腐ったリンゴ」を市場から排除し、それを持ち込んだ業者を厳しく罰することも不可欠だ。「これは美味しいリンゴです」と投資家を偽って腐ったリンゴを買わせた経営者はさらに厳罰に処さなければ、市場の信用は守れない。「腐ったリンゴ」を排除するのは、上場廃止であり、業者の処分は課徴金や上場賦課金であり、経営者の処分は刑事告発だ。

その機能が問われているのが東芝の不正会計問題である。