【4】安心の医療保険 vs シンプルながん保険

▼診断給付のがん保険は月額5000円以内に

医療費に不安をもつ人は多いが、あやふやな不安を膨らます前に、「いくらかかるのか」を知っておこう。日本人は「国民皆保険」のため、全員が公的医療保険に加入している。このため医療費の窓口負担は「3割」となっている。これに高齢者や低所得の人には減免措置がある。さらに長期の入院などで医療費がかさんだ場合には、「高額療養費制度」の適用が受けられる。

これは毎月の保険料の算出根拠となっている「標準報酬月額」に応じて、自己負担の上限額を定めたもので、たとえば70歳未満で月収28万円以下の場合、上限額は約5.7万円となる。この上限額は最近引き上げられ、月収83万円以上の場合には上限額が約25.2万円となった。

年収1000万円の世帯でも毎月25万円の負担は重い。ただし療養が4カ月以上になった場合、上限額は約14万円に引き下げられる。国の調査によると、平均在院日数は16.8日(一般病床)で、4カ月以上の入院は極めて稀だ。通院の交通費や入院時の差額ベッド代などを考えても、医療費だけにつかえる貯蓄が200万円程度あれば十分。医療保険は、その貯蓄ができるまでの「つなぎ」と考えるべきだ。

図4 ※1:標準報酬月額 ※2:上限を超えた分の医療費の自己負担は1% ※3:直近12カ月に同一世帯で高額療養費の支給が3回以上あった場合の4回目以降は減額される ※4:現役並み所得者 ※5:一般

おすすめできるのはシンプルな保険だ。たとえばアクサダイレクトの定期医療保険は、病気の内容にかかわらず入院時に1日5000円、入院をともなう手術では5万円の一時金が出る。保険期間10年の保険料は高くても2000円以内だ。

医療保険では「がん保険」も人気が高い。がんは治療が長期化することが多く、収入減や失業のリスクがある。30代から40代の働き盛りであれば、がん保険を検討する価値はある。ただし月額5000円以内に抑えたい。

がん保険では、入院、通院、手術のそれぞれに「給付金」が出ることがある。だが、これらは条件が複雑でわかりづらい。がんの診断確定でまとまったお金がもらえる「診断給付金」の手厚いものを選びたい。たとえばアクサ生命の「収入保障のがん保険I型」は、がんと診断確定されると、一定額が5年間にわたって給付される。治療内容は不問で、受取期間中に死亡した場合は残りの分が遺族に支払われる。「年金額60万円・総額300万円・65歳まで保障」という形で加入した場合の月額保険料は、35歳の男女で2500円程度。がん保険はシンプル・イズ・ベストだ。