予算を絞る方法はある。ひとつは「応能負担」の強化だ。多くの自治体では年収にかかわらず保育料を軽減している。国は3歳未満児の保育料基準を月約10万円としているが、実際には月6万円程度の自治体が多い。高年収の世帯には、しっかり負担を求めるべきだろう。
ただし保育料には第2子では半額、第3子では1割または無料になる措置がある。少子化対策を考えれば、この措置は維持したほうがいいだろう。
また複雑な点数制度の影響で、フルタイム共働き世帯の負担が軽減され、求職中のシングルマザーは保育所に子供を預けられないという事態も起きている。
少子化は社会全体で向き合うべき課題だ。「待機児童ゼロ」の実現可能性を高めるには、保育所を利用した分だけの「応益負担」ではなく、支払える能力に応じた「応能負担」を強めていくべきだろう。
嘉悦大学経営経済学部准教授。1973年生まれ。2004年慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程単位取得。11年より現職。専門は、社会保障論、福祉の経済学、財政政策。