「保育園落ちた日本死ね」というネットの書き込みに共感が集まっています。当然だと思います。安倍さんは「一億総活躍社会」と言っているのに、実際、子育てするには共働きでないと困るのに、肝心の保育園に入れなくてどうしろというのか。まったく同感です。

書き手の方は、オリンピックや国会議員のムダを削ってなんとかしろと書いていますが、要するに、子育て支援の優先順位が低いことに抗議していると思います。そのとおりだと思います。

「いたちごっこだから増やさなくてもいい」という暴論

2015年4月、子ども・子育て支援新制度がアナウンスされたことで、保育を申し込んだ子どもの数は前年よりも大幅に増えました。保育所(=認可保育園)等*の申込者数は13.1万人増。ちなみに、2014年4月は4.7万人増だったので、新制度効果がいかに大きかったかがわかります。これに対して、保育の定員は14.6万人分も拡大しているのですが、待機児童数も1800人ほど増えています。

「つくればつくるほど、希望者がふえる」と、どこの自治体も言っています。だから、これ以上つくってもムダという政治家の意見を読みましたが、とんでもない暴論です。

そもそも待機児童問題が深刻な首都圏や近畿は、女性の就業率が低い、つまり専業主婦世帯が多い地域だったために、保育所の整備が遅れていました。今、これらの地域にも共働き志向が急速に高まり、保育所等の数もどんどんふえていますが、地方に比べれば、都市部の保育所等の利用率(=就学前児童数に対する保育所等の利用者の割合)はまだ低い(2015年の保育所等の全国平均利用率は37.2%、東京都は35.1%**、神奈川県は23.6%)。

つまり、「つくればつくるほど、希望者がふえる」のは「まだ足りない」からなのであって、決して「いたちごっこ」ではありません。全国的に見ると、保育所等利用率が50%に達した自治体は待機児童がゼロになっています。自治体は、「求められているものをつくる」という正攻法が唯一の解決策であることを知るべきです。

*保育所のほか、認定こども園や小規模保育、家庭的保育、事業所内保育などを含む(新制度での認可施設・事業)。
**東京都が公表している利用率は、認証保育所等の認可外が含まれているので、それを除外した率を算出した。