待機児童数をごまかしている場合ではない!
「あれ? 横浜市の2015年4月の待機児童数は8人だったのでは?」と思った人もいるでしょう。認可に申し込んで入れなかった児童数は約2500人ですが、グラフにあるように、「横浜保育室に在籍している」「親が育休を取得(延長)している」「特定保育園のみを申し込んでいる」などのケースを除くと、8人になるようです。
このようなカウント方法をとっているのは横浜市だけではありません。新制度で、このようなカウント方法が普及されたといってもよい状態です。
新制度では「ニーズ調査を行って潜在ニーズも捉えて保育所等を整備する」という方針だったはずが、こんないい加減な待機児童数を指標にしていてよいのでしょうか。「待機児童ゼロ」は国や自治体の首長の公約という政治的な数字になっています。「待機児童ゼロ」を信じて激戦区に引っ越してしまった親も怒っています。少なくとも国は、国が責任をもって提供する保育所等の認可の保育について、正しい数字を公表してほしいと思います。
国は「待機児童解消加速化プラン」の前倒しにより、2013年度から2017年度までの5年で50万人の受け皿拡大をめざすとしています。これが実現すると、1・2歳児だけでの保育利用率が48%になるそうです。さすがにこうなると、「待機児童ゼロ」は本当にゼロになるかもしれません。あと1年でそんなことできるわけはない! という見方もありますが、予算をしっかり確保できれば、少しは改善する可能性が大です。今年、保育園に入れなかった方も希望を捨てず、次のチャンスを狙ってほしいと思います。
1956年、兵庫県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。出版社勤務を経てフリーランスライターに。93年より「保育園を考える親の会」代表(http://www.eqg.org/oyanokai/)。出版社勤務当時は自身も2人の子どもを保育園などに預けて働く。現在は、国や自治体の保育関係の委員、大学講師も務める。著書に『共働き子育て入門』『共働き子育てを成功させる5つの鉄則』(ともに集英社)、保育園を考える親の会編で『働くママ&パパの子育て110の知恵』(医学通信社)、『はじめての保育園』(主婦と生活社)、『「小1のカベ」に勝つ』(実務教育出版)ほか多数。