弘兼憲史の着眼点

▼飄々と1人で現れる、会ったことのないタイプ

年齢、職種もありますが、ミクシィ3代目の森田さんは、過去に会ったどの社長にも似ていない。彼はいつもおしゃれで、若々しい。そして秘書や広報担当を連れることなく、飄々と一人で現れる。彼を知らない人が見れば、30そこそこの、アパレル関係者と思うことでしょう。

弘兼「SNSの『mixi』は今後どう使うつもりですか?」 森田「実は今でも数百万人の人に使われ続けています。mixiならではのコミュニティ機能を活用していきたいと思います」

森田さんはミクシィについて、インターネット、スマートフォンを使って世の中を変えていく会社だと定義しました。つまり、可能性は無限大にあると。しかし、この世界は自動車などの製造業と違い、設備投資、技術の蓄積が、短期間でひっくり返る可能性がある。そのため、森田さんのような軽やかな社長というのは必然なのかもしれません。

将来の自分の像について彼はこう言います。

「いろんなことに首を突っ込んでいきたい。今はスマートフォンにより、世の中が変わっている瞬間。そこに立ち会えていることが嬉しい」

我々の世代は介護という大きな問題を抱えています。森田さんのような若い世代に、こうした社会的な問題解決もお願いしたいと切に思うのです。

弘兼憲史(ひろかね・けんし)
1947年、山口県生まれ。早稲田大学法学部を卒業後、松下電器産業(現・パナソニック)勤務を経て、74年に『風薫る』で漫画家デビュー。85年『人間交差点』で第30回小学館漫画賞、91年『課長島耕作』で第15回講談社漫画賞、2003年『黄昏流星群』で日本漫画家協会賞大賞を受賞。07年紫綬褒章受章。
(田崎健太=構成 門間新弥=撮影)
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