グローバル化、業界再編、リストラ……、企業を取り巻く環境は激変している。ライバル会社はどうなっているか、徹底レポートする。

ヤフーの「革命」で競争の激化必至

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【ネット系ベンチャー】年収、平均年齢、従業員数

インターネットの世界は、パソコンからスマートフォン(スマホ)への流れが、経営環境を大きく変えている。スマホ対応の成否でネット関連企業の明暗が分かれている。

グリーとディー・エヌ・エー(DeNA)の交流ゲーム2社が苦境に立たされている。スマホ対応の遅れやヒット作不足で業績が悪化。グリーは、2013年4~6月期連結決算では上場以来初の赤字を計上した。さらに同年10月、希望退職者200人を募集すると発表。国内従業員1762人のうち、ゲームの開発部は温存し、管理部門などの700人を対象とする国内外でのリストラに踏み切った。

「傷が深くなる前にリストラに踏み切ったのは適切な経営判断」(アナリスト)と評価する。

スマホ対応に遅れ、ヒット作が出せていない状況はDeNAも同じ。ソーシャルゲームサイト「Mobage」の収入が伸び悩み、減益が続く。

スマホゲーム市場の主役がガンホー・オンライン・エンターテイメントだ。ゲーム「パズル&ドラゴンズ」が大ヒット。一昨年10月のテレビCM開始以降、爆発的にダウンロード数を伸ばした。

一方、SNS(交流サイト)の草分けとして業界をけん引してきたミクシィは瀬戸際だ。昨年5月、朝倉祐介新社長に交代、創業者の笠原健治社長の会長就任を発表。現在、株価を戻したが、上場後6年でミクシィの時価総額は10分の1まで落ち込んだ。「ギラついたミクシィを取り戻す」と宣言した朝倉新社長の手腕が試される。

ネットの勝ち組ヤフーでも、12年に大胆な社長交代を行った。売上高、純利益とも最高を達成しながら、創業以来経営に携わってきた井上雅博社長が退き、宮坂学執行役員が社長に就任。

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【ネット系ベンチャー】業界年齢構成、平均年収

宮坂新社長は「爆速経営」を掲げ、次々とM&Aや提携、サービスの刷新を断行。社長に就任して1年半で、株式時価総額を約2.6倍の3兆6000億円超にまで拡大。

さらに、孫正義ヤフー会長が「革命」と銘打った電子商取引(EC)モールの出店・手数料の無料化に打って出た。さらに、無料電話・チャットアプリで世界3億人、国内5500万人超の会員を持つLINEがEC市場に参入。長らく楽天とアマゾンの二強がシェアを競い合ってきた国内EC市場。ヤフーがこじ開けた第二幕が始まった。

ITの進化はビジネス環境を一変させる。他の業界に比べて、経営者の世代交代も急速に進む。ネットベンチャーのサバイバルが続く。

(ライヴ・アート=図版作成)
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