5月、ディー・エヌ・エーは自動運転システム開発のZMPと無人タクシーの合弁会社「ロボットタクシー」の設立を発表した。同社の売上高は2013年3月期をピークに下降線を辿り、15年3月期も大幅な減収減益に。「モバゲー」依存から、どう脱皮するか。守安社長にぶつけた。
ガラケー→スマホのような変化が自動車に起きる
──なぜ自動車事業に参入しようと考えたのか。
【守安】インターネットを取り巻く環境は劇的に変化している。スマートフォンやタブレットの登場によって、ネットに触れる時間やシチュエーションは飛躍的に増えた。その中で、これまでネットの領域とはされてこなかったリアルの産業にも影響が出てきている。スマホのアプリによって自分の健康を管理したり、タクシーを配車したり、そういったことが当たり前になってきた。
その中で我々が自動車を選んだのは、まず、産業規模が非常に大きいこと。自動車産業は、部品やガソリンスタンド、保険などの関連産業を合わせると40兆円とも50兆円ともいわれ、市場の裾野が広い。
そして自動車産業全体も、いま大きな変革の真っただ中にいる。燃料はガソリンから電気や燃料電池などに移るエネルギーミックスが進み、車のつくり方が根本から変わる可能性がある。ネットの技術が自動車産業にも応用され、運転手がコンピュータにとって代わられるかもしれない。つまり、ハード面、ソフト面ともに車のあり方が根底から覆され、携帯電話がガラケーからスマホに変わったような、大きな変革が起こる状況にある。
自動車のあり方が変わると、道路など都市設計から、燃料を補給するガソリンスタンドなどの社会的なインフラまで影響が出る。我々もネットのプレーヤーとしての特徴、強みを生かして、何か役割を果たすことができないか、と考えたことがきっかけだ。