100年続くために「若い感性」を求める
【弘兼】転売目的の人間と、都合で行けなくなりチケットが余って困っている人間の区別がつけられない。
【森田】チケットというのは特殊な商材だといえます。チケット期日を過ぎれば、価値がゼロ、紙切れになってしまいます。そのため、これまでは個人的な繋がり、あるいはツイッター、オークションサイトで取引されていました。ただ、そのやり方には、偽チケット、詐欺などの可能性が出てくる。そこでチケットキャンプは、お金をいったん預かり、買い手がチケットを本物だと確認した後に入金することで、取引の安全を担保することにしました。その意味で社会的意義はあると思っています。今後、チケット販売に携わる様々な方々と話し合いを進めながらいい方向に持っていければと考えています。
【弘兼】ミクシィはSNSから始まって、ゲーム、チケット仲介など様々な分野に手を広げています。森田さんはミクシィという会社をどのように定義していますか?
【森田】インターネットやスマホを使って世の中を変えていくためには、“なんでもやる!”という会社です。
【弘兼】IT業界というのは、ほかと比べても栄枯盛衰、プレーヤーの入れ替わりがもの凄く早い。その恐怖はありますか?
【森田】SNSに頼っていたミクシィがまさにそうでしたから。事業が上手くいっているときこそ、リスクを抱えていると僕は考えています。モンストを立ち上げたとき、僕たちは背水の陣だったから、突っ走れたという面があります。その意味で、今のミクシィには余裕がある。危機感を敢えてつくり出して、組織を運営していくことも必要でしょうね。
【弘兼】森田さんは現在40歳。私たちの世代に比べれば若いけれど、ITの世界では次々と若い才能が出てきています。今後のミクシィの舵取りをどう考えていますか?
【森田】僕も頑張って世の中のトレンドを先読みして、これまでにないサービスを生み出していきたいと考えています。しかし、恥ずかしながら、僕が理解できないようなサービスというのもありえる。若い感性というのが必要になってくることもあるでしょう。ミクシィは僕で3代目です。100年続く会社となるためには、何度か脱皮していかなければならないのだろうなとは感じています。