ミクシィは、97年11月のWeb系求人情報サイト「Find Job !」の運営からスタート。99年に創業者の笠原健治(現取締役会長)が有限会社イー・マーキュリーを設立、04年にSNS「mixi」の運営を開始、06年2月に社名を「株式会社ミクシィ」に変更し、同年9月にマザーズ市場に上場している。
13年6月、コンサルタント企業のマッキンゼー出身の朝倉祐介が社長に就任。森田は1年で朝倉の後を引き継ぐことになった。
SNS「mixi」と同じ失敗はもうしない
【森田】前社長が就任したときは、ミクシィが最も厳しい時期で、コンサルティングの知識を必要としていたのだと思います。そこを抜けたので、事業を伸ばしていくときに、自分に白羽の矢が立ったのではないかと自己分析しています。
【弘兼】社長の打診を受けたとき、どう思われましたか?
【森田】ミクシィの業績が落ちたとき、僕は執行役員だったんです。当時、「ミクシィは終わった」と叩かれたこともありました。執行役員として社員に申し訳ない、不甲斐ないと思っていた。モンストがヒットしたときも、最初は「まぐれ」だという評価でした。それを見返してやろうと。自分のためというよりも社員のためという気持ちです。ゲーム事業を中心に経営資源をコントロールすれば、社長はやりきれると考えていました。
【弘兼】16年3月期の決算でミクシィの売上高は2087億円、営業利益は950億円。とはいえ、この多くはモンストによるものです。モンストに依存するリスクがあります。
【森田】話に出たように、かつてのミクシィはSNS事業に特化していました。そしてその事業が落ちていくと、急な軌道修正ができなかった。同じことを繰り返してはいけないということは常に頭の中にあります。
【弘兼】それが美容師と客のマッチングサイトの「minimo(ミニモ)」、あるいは女性から男性にアプローチをする「Poiboy(ポイボーイ)」などといったゲーム以外の事業展開ですね。なかでも目についたのは、15年3月に115億円で買収した「チケットキャンプ」。これはユーザー間でコンサートやスポーツ観戦などのチケットを売買できるサービスです。このサービスは使いようによってはチケットを転売して利ざやを不当に稼ぐ人間を利することになってしまう。音楽業界からも「チケットの高額転売に反対します」という共同声明が出されています。
【森田】はい。これは難しい問題です。僕たちも営利目的で悪質な転売をしている人間は排除しなければならないと考えています。ただ、僕たちが提供しているのはあくまでもプラットフォームです。こちらで値段を決めることができない。チケットの所有者はあくまでも出品者であり、そこに介入するのが難しいんです。