答えは内側にある

このLEAPを踏まえ、日本企業がもっと元気になるにはどうしたいいか。経営者に向けたメッセージが3つあります。

ひとつは中を見よ。答えは外にありません。内側にあります。機会は外にたくさんあるでしょうが、それをものに出来るかどうかは、企業力に左右されます。きょろきょろ外を見る暇があったら、自社の本当の強みが何かを徹底的に考えるべきです。

『成長企業の法則』名和 高司 (著)   ディスカヴァー・トゥエンティワン

2つめには、熱く語れ。自分たちが目指すPを熱く語ることです。それはまず社員に伝染し、社員の共感を呼びさまします。次にお客様に伝染し、また共感を呼ぶ。その共感が社会にまで広がっていく。この共感という言葉は今のキーワードです。特にソーシャルネットワークの力を最大限に活かすためには、共感されることが重要なのです。

最後は、ずらせ。池井戸潤原作の人気小説「下町ロケット」には2があって、ロケットをつくって宇宙に飛ばしたいという登場人物の志が、人工心臓弁を作って、人の命を救いたいという志に変化するんです。技術は既にあった。ロケットの水素エンジンのバルブが、人工心臓弁に応用できると。志がピボットしたわけです。どうかこの下町ロケットの世界をつくってみてください。

一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授 名和高司(なわ・たかし)
1957年、熊本県生まれ。80年東京大学法学部卒業後、ハーバード・ビジネススクールにてMBA取得。三菱商事での機械グループ経験を経て、マッキンゼーにて約20年間コンサルティングに従事。多様な業界において成長戦略、構造改革などのプロジェクトを手がける。2010年より現職。ファーストリテイリング、デンソー、味の素、 NECキャピタルソリューションズの社外取締役を兼務する。主な著書として、『CSV経営戦略』『学習優位の経営』『戦略の進化』など多数。
 
(荻野進介=文)
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