トランプ大統領に期待していること

【飯島】幸いにも私は服部先生と知りあえたおかげで、本当にすごい食の世界に触れることができました。ミシュランの三つ星とはまた違う、世界トップのグルメ団体の日本本部の理事を務めていますね。

【服部】「ラ・シェーヌ・デ・ロティスール協会」ですね。シェーヌはチェーン、ロティスールは焼き肉という意味で、直訳すれば焼き肉チェーンですが、1248年にフランスのガチョウを焼く料理人の組合が設立されて以来の伝統がある組織です。現在に至るまで世界中の焼きもの料理の分野で活躍しています。肉の焼き方にうるさい連中約2万5000人の団体で、彼らの店に行くと仲間として扱ってもらえます。

【飯島】ここの会員の店のステーキは最高です。店の入り口にさりげなく盾のマークが飾られているので、気づきづらいのですが、信じられないぐらいの美味しさです。日本には何軒ほどあるのですか?

【服部】会員は220人で店としては180軒くらいかな。

【飯島】本物といえば、服部先生が長年とりまとめ役をやられている「フランス農事功労章受章者協会」の食事会もすごいですね。私も先日ついに受章者の仲間入りを果たしました。

【服部】受章、おめでとうございます。毎年、日本中の有名ホテルが持ち回りで開催していますが、あちこちの有名店の料理長以上の方ばかり集まる会ですから、ホテルにとっては一大事になります。すごい食事会といったら、飯島さんはホワイトハウスの晩さん会にも出席されていますよね。どのようなものが振る舞われたのですか。

【飯島】正直、私にとっては物足りないものでした。フランス料理のコースでしたが、一皿の量が少なくて、お腹いっぱいにはならなかった。やっぱり私はガツンとしたステーキがないと食べた気がしないのです。この次のトランプ大統領には大いに期待しています(笑)。この前、安倍晋三首相がニューヨークで開催したディナーにも出ましたが、料理自体は服部先生の関係でプロ中のプロが集まるパーティーのほうが断然良かった。ニューヨークで有名な日本料理店など美味しい料理を食べた記憶がない。海外で日本食がブームと言われても、ピンときません。

【服部】私は、食品輸出1兆円を目標に海外で宣伝活動に協力しています。農産物輸出に力を入れ始めたのは、飯島さんが首席秘書官をされていた小泉内閣からです。当初は2600億円くらいだったのが、今では7452億円にまで伸びました。あと2年で1兆円に到達できると思います。中東のドバイだとスイカは1個2万円でも売れます。日本だったらどんなに高くても2000円ですから桁が違います。これからも意欲的な農家が増えていくと思います。

【飯島】ある食品のポスターで服部先生に推薦していただいたら、売り上げが凄く伸びました。どこかのアイドルよりもよほど効果がある。トルコの地中海マグロの店からも「ポスターのモデルに服部先生を紹介してほしい」といわれています。先生は食品界のアイドルです(笑)。

服部栄養専門学校理事長・校長 服部幸應(はっとり・ゆきお)
1945年、東京都生まれ。立教大学卒。昭和大学医学部博士課程学位取得。学校法人服部学園 服部栄養専門学校理事長・校長/医学博士/健康大使/日本食普及の親善大使。藍綬褒章受章。フランス大統領よりレジオン・ドヌール勲章・国家功労勲章、および農事功労章オフィシエ受章。
(撮影=村上庄吾)
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