メタボを改善し脳の活性化にもいい

スロージョギングはあまりにも楽なので、「本当に十分な負荷がかかっているの?」と不安に思うかもしれません。しかし“本気走り”の半分程度の強度で運動をすれば、血液中の乳酸濃度の急激な上昇はなく(=きついと感じる直前)、心臓の1回の拍出量は最大近くに達し(心機能を高めるための心臓への負荷をかけられる)、エネルギー代謝も最大近くになります。

つまり、じつのところ人によって“本気走り”のレベルは異なるわけで、その半分程度の強度の運動となる“スロー”の定義(速度)も人それぞれ。目安としては、20歳代が時速6~7キロ、50歳代で時速5キロ、70歳代が時速4キロです。また、スロージョギングを3カ月、半年と続けていくと体力が上がりますので、それに合わせて速度も上げなければなりません。しかし、走力も上がっていますので、それを“きつい”と感じることはないのです。

スロージョギングのような適度な強度の運動は、さまざまな生活習慣病対策に有効です。12人の高血圧患者に、スロージョギングと同等の負荷がかかるようエアロバイクで運動をしてもらったところ、4週目に血圧が下がりました。また、平均年齢75.5歳の高血圧患者に同様のレベルの運動をしてもらったところ、善玉コレステロール値が上昇し、脂質異常症が改善しました。ただし、9カ月でトレーニングを中止したところ、その1カ月後には数値が下がってしまいました。このほか、血糖値の改善、がんの予防、認知症の予防にも有効であるといわれています。

スロージョギングを実践するポイントは、とにかく毎日やること。こま切れでもかまいません。通勤・帰宅時の移動を利用したり、会社でトイレに行くとき、席にもどるときなど、ちょっとした時間を利用すればいいのです。

はじめは1日10分でも、20分でもOK。理想をいえば、毎日計1時間を3カ月は継続してほしいところ。食べ過ぎ、飲み過ぎに気をつければ、たしかなメタボ改善効果や体力アップを実感できるはずです。