自分の得意な仕事は遺伝で決まっている

ミネソタ大学のアウケ・テレゲン博士の研究では、別々の家庭で成長した一卵性双生児(遺伝レベルでは同一)の2人に対して、性格テストをしたところ、14の性格特徴のうち12がほぼ同じでした。異なる環境で生育しても、多くの性格的な特徴は遺伝で決まってしまうわけです。

そのうえでビジネスでは、自分のタイプが、リーダーとマネジャーのどちらなのかを見極める必要があります。コンサルタントのマーカス・バッキンガムは、それぞれに必要な素質はまったく異なると指摘しています。優れたリーダーは、「よりよい未来に向けて人々を一致団結させる」。一方、優れたマネジャーは、「部下一人ひとりの特色を発見し、それを有効に活用する」。孫さんは、とりわけ未来を描く能力が卓越しています。

ひとつに集中するリーダーと、複数を気遣うマネジャー。どちらのほうが楽しいか、苦痛に感じないか。それによって、あなたのタイプがわかります。どんなテクニックを活用しても、楽しく働けなければ成果は出ません。自分の適性と無理なく付き合っていくことをおすすめします。

▼2つのタイプは「先天的」に異なる

●リーダー
―未来志向
―楽観主義と強い自我
―ひとつに集中
―「現実を変えていきたい」
―よりよい未来を自ら描く

●マネジャー
―現実志向
―教育本能と社交性
―複数を気遣う
―「人を手助けしたい」
―部下一人ひとりの成功

※マーカス・バッキンガム『最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと』よりプレジデント編集部で抜粋。

▼「孫流トーク」8つのキーワード
[1]承認欲求――「誰かから認められたい」という感情
[2]機能的固着――経験から決まった問題解決の手法にとらわれる
[3]内言語法――自分に語りかけることで記憶や行動が定着する
[4]フレーミング――問題や質問などの枠付けで意思決定が変わる
[5]水路付け――反復によって習慣や価値観が固定化される
[6]選択的接触――都合の悪い情報を無視しようとする心理傾向
[7]目標設定理論――明確で具体的な目標があるほど成果が向上する
[8]ビジョンコミュニケーション――将来像や方向性を具体的に言葉で伝えること

心理学者 内藤誼人

慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。立正大学心理学部特任講師、有限会社アンギルド代表。『人たらしのブラック心理術』『手にとるように社会心理学がわかる本』『使えるマキャベリ』など著書多数。
(稲田豊史=構成 澁谷高晴=撮影 ロイター/アフロ=写真)
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