だから人生の目的がはっきりさえしていれば、朝型の人と夜型の人、それぞれタイプがあるから、残業や自宅に持ち帰るのもいいし、翌朝早く出社して仕事を片付けても良いと思う。私はその日のうちにけりをつけたいタイプなので、残業してでも片付けてしまったほうだ。ただ、残業までするというのは、仕事の効率が悪いという見方と仕事が多すぎるという問題がある。Aさん、Bさん、Cさんの3人がいて、Aさん、Bさんはできているけれど、Cさんだけができなかったとする。Cさんは創意工夫が足りないのか、その力がないことになる。その場合は努力に努力を重ねるようにするのか、他の部署の適性があるのかを見極める必要がある。一つのことができないからといって、あいつは駄目な人間と決めつけるのはおかしい。

会社としては、各自のノルマを期限までに達成してくれれば良いわけで、給料をもらうプロフェッショナルであるならば、いつまでに仕上げなければいけないかの判断は、自分でコントロールすべきだと思う。自分の責任を果たすというのは、社会人としての最低限度の常識である。

大和ハウス工業 会長・CEO 樋口武男(ひぐち・たけお)
1938年、兵庫県生まれ。関西学院大学法学部卒。63年、大和ハウス工業に入社。93年にグループ会社の大和団地社長。2001年、大和ハウス工業社長。04年より現職。著書に『熱湯経営』『凡事を極める─私の履歴書』などがある。
(構成=吉田茂人 撮影=熊谷武二)
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