いつも前向きでいれば、プレーが楽しくなる

――もう一人、キャディの清水さん(重憲さん=41歳)の存在はどうですか。

【ボミ】今の私があるのは清水さんのお陰です。ゴルフだけでなくすべての面でいつも私を見守ってくれています。何をしたら上手くなれるか。疲れないためにはどうしたらいいかと考えてくれています。

以前の私はパッティングに弱点があった。打つ前にいつも迷う。あるとき構えたらすぐ打ったほうがいいかと清水さんに聞いたら、即そうすべきだと言われ、以来パッティングに迷いがなくなりました。君は時々簡単にボギーを叩くことがあるけど、それをカバーするためにはショートゲームの練習に力を注ぐべきだと言われ、それを実践してボギーを叩かなくなりました。本当に信頼できるパートナー。ここまで来られたのは、決して私一人の力ではありません。

▼専属キャディ 清水重憲さんから見たイ・ボミの素顔

「賞金女王の記録を前に本人も大変なプレッシャーがあった。でもそれを強い精神力で乗り切った。彼女の笑顔は、『ゴルフは何が起きるかわからないゲーム。一喜一憂しても始まらない』といういわば達観した姿勢から出ている。これは凄いこと。他人を気遣う優しい性格で、僕のほうがむしろ教えられることが多いですよ」
 
――日本に来た当初(11年)「私のバーディーより日本選手のパーのほうが拍手が多い」と戸惑い、また05年のほけんの窓口レディースに優勝したとき「外国人の私が勝っていいのでしょうか」と遠慮がちでした。外国人という負い目はあったのですか。

【ボミ】すこし悲しかったのは確かです。でも私は日本が大好き。日本でプレーすることを決めたとき、両国の関係がよくなかったので、ゴルフを通じて韓国と日本の懸け橋になりたいと誓いました。心を開いて一生懸命プレーすれば必ず理解してくれると信じていました。今は日本の大勢の人が私を応援してくれます。その声援がまた力を与えてくれます。日本でプレーすることが本当に楽しいし、ますます日本が好きになっています。

――あなたは韓国で“スマイル・キャンディ”のニックネームがあるように日本でも笑顔のプレーに人気があります。笑顔は意識しているのですか。

【ボミ】いえ、意識はしていません。怒るときもあるんですよ(笑)。でもすぐ切り替えます。怒ったからといって何の得があるわけでもありません。常に前向きにプレーすれば楽しくなります。それに周りで応援してくださるファンの方が笑うようにしてくれるんです。キャディの清水さんも「笑ったらラッキーがくるよ」と言ってくれます。でも笑うと本当にいいことが起きるんですよ(笑)。