スポーツの世界には、アマチュア資格を失いながらもプロ認定されていない選手が多く存在する。女子ゴルファーの笹原優美選手は、プロテストに11回挑戦し、いずれも不合格。それでも笹原選手は自身を「ゴルフのプロ」と表現する。その真意を、ゴルフライターのコヤマカズヒロさんが聞いた――。(連載第1回)
女子ゴルファーの笹原優美選手。TWGT(Thanks Women's Golf Tour)というミニツアーで活躍するかたわら、プロテストへの挑戦を続けている
筆者撮影
女子ゴルファーの笹原優美選手。TWGT(Thanks Women's Golf Tour)というミニツアーで活躍するかたわら、プロテストへの挑戦を続けている

プロ協会の管轄外でプレーする選手たち

2018年、2019年と世界のトップティーチングプロ100選に選ばれた実績を持つ和田泰朗は、都内を中心にレッスンを展開するかたわら、TWGT(Thanks Women's Golf Tour)というミニツアーを主宰している。

国内のプロゴルフは、男子はJGTO(日本ゴルフツアー機構)、女子はJLPGA(日本女子プロゴルフ協会)という主管団体によって運営される。

ミニツアーとはそれらの管轄外で行われる試合で、トッププロたちが参戦するレギュラーツアーに出場できない選手たちが主に出場している。アメリカではこうしたミニツアーが盛んで、明日の成功を夢見てミニツアーで腕を磨く選手は多い。

和田の主宰するTWGTは、選手が1口2万円のサポーターを5人集めないと出場できないというユニークな形式を取っている。入場料として考えると2万円は高額だが、1試合とはいえ、その選手のスポンサーになれるのなら破格に安い。その収益は選手に還元され、何十人もサポーターを集める人気選手にとっては、無視できない収入となる。

和田はこの形式を通して、「プロスポーツ選手とファンとの関係性を問い直したい」のだという。

「アマ日本一」ですら敗退するほど厳しいプロテスト

一方、JLPGAの試合に出場するためには、毎年行われるプロテストに合格して、JLPGAの会員になる必要がある。どんなに実力があってもこのプロテストを通過しないことには、高額賞金が用意された華々しいレギュラーツアーでは戦えないのだ。

近年、女子選手のレベルが上がり選手層も厚くなったことで、このプロテストを通過する難度がかなり上がっていると言われている。

毎年行われるプロテスト合格の枠は、1次予選、2次予選を勝ち抜き最終予選に進んだ選手のうち、上位20位タイまで。合格率は約3%程度で、有力選手の数に対して、枠が狭すぎるという意見もある。

例えば、2023年のプロテストではその年の日本女子アマを制した飯島早織が最終予選で涙を飲んだ。同じ年にアマチュア日本一となった選手ですら敗退するほど、女子のプロテストは狭き門になっているのだ。

TWGTは、コロナ禍の2020年にスタートした。それは試合を行うことが出来なくなった時期に、プロテスト合格を目指す女子選手たちに、なんとか試合経験を積む場を提供したいという、和田の想いからはじまっている。彼女たちは、決して恵まれた立場にいるわけではない。