「全コース黒字化」のためにまずやったこと
1971年に設立されたゴルフ場のグループ、太平洋クラブ。18のコースを持つまでに発展したが、2012年、会社更生法の適用を受けた。2014年、遊技業界トップのマルハンが買収し、社長に就任した韓俊が数年で立て直し、今はすべてのコースが黒字化している。
韓俊が力を入れたのはコースの整備とキャディサービスの向上だった。
わたしはコース管理の統括者、チーフグリーンキーパーと超優秀キャディに太平洋クラブのメンテナンスと接客サービスを聞いた。
朝一番のプレーヤーのために5時半には出勤
ゴルフ場を商品と考えた場合、主要な要素はコースだ。コースの設計がよく、メンテナンスされていて、しかも景色が良ければ人気が出る。
太平洋クラブの改革はコース管理にも及んだ。コース管理とはフェアウェイ、ラフの芝刈りや落ち葉を集めて拾うこと。加えてバンカーの整備、グリーン作りと整備、コース内通路の安全点検、そしてコース全体に散水すること。
担当するのがコース管理部。部員たちを統括するのが各コースにひとりずついるグリーンキーパーだ。
彼らの仕事は自然が相手だから年中無休である。土日や祝日、連休はない。夏休みも正月も働く。
コース管理部員の朝は早い。午前8時に1組目がスタートするとすれば、彼らは2時間半前の午前5時半には出勤している。となると、起きるのは午前4時過ぎといったところ。卸売り市場で働く人たちと同じように超早起きの生活なのである。
出勤したらすぐにコースに出ていく。芝を刈ったり、ブローワーで落ち葉を吹き飛ばしたりする。芝刈り機やブローワーは大きな音を立てるから、プレーヤーがコースを回り始める前に終えておかなくてはならない。
ただ、すべてを2時間で終えるのは無理なので、アウトの1番、インの9番コースから芝刈り機やブローワーを動かしていく。グリーン上にカップを切り、プレーヤーたちのスタートに備える。バンカーならしは機械でやるのだが、前日の夕方に済ませておくことが多い。
基本的にゴルファーがプレーしている時間には管理作業を行うことはない。