玄関では支配人、副支配人と一緒にお出迎え
彼女は御殿場コースでキャディを始めて数年でGランクになった。同社では最高ランクで、5人しかいない。
2年間、八千代コースでキャディ教育に当たるため、転勤して単身赴任することになった。彼女はバツイチ。当時、小学校3年だったひとり娘の結愛ちゃんを御殿場に残して、千葉県に移り、ひとり暮らしを始めた。
彼女の座右の銘は「行雲流水」。空を行く雲のように、流れる水のごとく転勤した。
――太平洋クラブでは正確な距離をお客さまに伝えることが徹底されています。例えばバンカーとか池までの距離、打ち上げ、打ち下ろしの距離、どのキャディに聞いても正確な距離で答えられるようになっているんです。以前勤めていたゴルフ場ですと、「だいたい200ヤード打っておけば池には入りません」みたいなざっくりした距離感を教えればよかった。けれど、ここでは「池まで185ヤードです」とはっきり答えなくてはならない。
コースガイドと資料を常に持っていて、正しい距離をご案内することになっています。ベテランでも新人キャディでもそこは同じです。
他のゴルフ場と違うのは玄関でお客さまのお迎えをすることです。支配人、副支配人と一緒に立ってお迎えして、お客さまのバッグ、お手荷物などは私たちがお預かりします。これはマルハンがスポンサーになる前から徹底していました。お帰りの際、お車にバッグを積みこむのもキャディの仕事です。ラウンド業務が終わった後のお見送りもやります。
小学3年生の娘を残して転勤を決意
――2017年から2年間、転勤して八千代コースで仕事をしていました。
「転勤してくれませんか?」と言われた時、娘が小学校3年生でした。私、離婚してシングルマザーです。結局、娘は両親が見てくれることになって、行くことに決めました。
転勤したのは、私は定年まで太平洋クラブで働きたいと思ったから。そのなかで2年間の転勤は必ず私にとってプラスになるし、ありがたい機会を与えていただいた。だから、挑戦したいと思いました。でも、話をいただいた直後は、やっぱり断るしかないかな、とも思った瞬間もあります。