「残念ながら全体の5~6%が悪徳です」
肝心の費用総額については一概にいえないが、ワンルームで5万円、3DKで15万円、一軒家で20万円以上がおおよその目安という。家の広さや物の量によっては100万円以上かかることもある。
「依頼者が納得せず難色を示したりすると、暴言を吐いたり怒りだしたりするひどい業者もいます。実際、依頼者が高齢者や女性の場合、一度家の中に足を踏み入れた業者を恐れてしまい、諦めがちです。我々も2カ月に1回、不正を働いている業者がいないか調査を続けていますが、残念ながら業界全体で5~6%は悪徳業者というのが実感です。特に長年続いている業者は、監視が甘かった時代から続いている悪しき慣習が残っているケースがあります」
一方でよい業者の条件は「電話対応が丁寧で、お客様に不快感を与えない身だしなみをしている者」。そのほかにも指標となるチェック項目がある。
▼「よい業者の見分け方」チェック表
出所:木村榮治著『遺品整理士という仕事』
□ホームページの内容はわかりやすいか
□遺族への思いやりを言葉の端に感じるか
□迅速な対応をしてくれたか
□見積もり来訪時、身だしなみはきちんとしていたか
□会社の制服があるか
□パンフレットやチラシに仕事の流れが書いてあるか
□見積書や名刺に許可番号や所在地などを明記しているか
□見積書では料金項目が詳細に記されているか
□会社名義の銀行口座を保有しているか
□見積もり来訪で、不安をすべて解消してくれたか
「この会を立ち上げ、ガイドラインとなる遺品整理士という資格をつくったのも、業者に父の遺品をぞんざいに扱われたことがきっかけでした。遺品を整理する前にお悔やみの言葉の一つもなかった。遺族の側に親身になれない者には、この仕事をする資格はありません」
高額請求に続き、近年目立っているのが、市場価値の高い遺品に二束三文の値をつけるという「買い取り」に関するトラブルだ。
「一般的に築30年ほどの一軒家であれば、10万円程度の買い取り額になるものです。また、昔だったら絶対に引き取ってもらえないようなものも、今は引き取ってもらえるように。たとえば食器類。数年前までほとんどが廃棄の対象でしたが、今なら半分以上は食器専門のリサイクルショップに買い取ってもらえます」
ほかにも洋服やベッド、布団、さらには仏壇などの供養品も、ベトナム、タイ、カンボジア、マレーシアなどで売買されるので、買い取り可。
「特に仏壇は2万~3万円の結構な高額で取り引きされます。不要だからと手放す方も多いので、品物自体が手に入りやすい。そこを狙って仏壇ばかり200~300基を一つの船に乗せ、日本の高級民芸品として売りさばく業者もいるほどです」