すっかり定着した感のある「終活」という言葉。「人生のフィナーレ」を迎えるにあたり備えあれば憂いなしと、誰もが思うところだろう。だが、こんなに「落とし穴」が潜んでいるのだ!

この4年間で3倍も増えた専門業者の数

大切な人を亡くした遺族にとって、遺品整理は精神的にも肉体的にも辛い。そんな遺族に代わり遺品を片付けてくれる遺品整理業者の需要が急激に伸びている。

遺品整理士認定協会理事長の木村榮治氏によると、同会が発足した2011年9月時点で全国に3000社ほどあった遺品整理の関連業者は、15年8月の時点で8000~9000社に急増したという。

「遺品整理とは故人の持ち物を受け継ぐものと受け継がないものに分け、受け継がないものはリサイクルに出すか、ゴミとして処分すること。主な作業は『分別・清掃・査定・搬出・処分』の5つです」

5つの作業を一手に担う大手遺品整理業者から専門業者と提携する遺品整理業者まで、業者の形態はさまざまだが、「業者とお客様の間にトラブルも増えています」。

同会は消費者センターとも連携を取る。そこに寄せられる苦情の中で最も多いのが、高額請求の案件。見積時より金額を吊り上げられたという声である。

「いわゆる悪徳業者は、最初は低く見積もっておいて、後から『予想以上にゴミがあった』『見積もり以外のことを当日急に頼まれた』などといって、2~3倍の値段をふっかけてきます。故人の自転車や盆栽などを処分する代金として、あたり前のように10万~20万円を追加で要求するケースもあります」

高額請求の被害にあわないためには、何よりも業者選びが大切。まずは提示された金額の内訳について細かく質問し、その説明に納得したうえで依頼する。

「言った言わないの口論になることがあるため、見積時の会話を録音することをおすすめします」

次に、見積金額が極端に安い業者は要注意だ。少なくとも2社、できれば3社から見積もりを取り、費用の相場観を養っておきたい。

「見積もりを出すときにどれだけ時間をかけて故人の遺品を見てくれるかもポイント。見積もりを30分や1時間で済ませる業者は疑ってかかってください。できれば土・日曜の2日間くらいかけて、親族や近所の人など第三者を交えてやってほしい。そのうえで、見積もりの内容について詳細な説明があれば大丈夫です」