ドミナント戦略にかける思い

中食の抜本的な見直しと並行して進めるのが、店舗数の拡大だ。ファミマはサークルKサンクスを傘下に収めるユニーグループ・ホールディングスと経営統合し、9月には正式に「ユニー・ファミリーマートホールディングス株式会社」が発足する。16年6月時点で、日本全国に6243店舗あるサークルKサンクスは、2年半をかけて順次ファミマへと看板を替える。閉鎖店舗も出るだろうが、単純に計算して、ファミマは現在の1万1000店舗強から、1万8000店舗弱と、トップのセブンに肉迫することになる(16年6月時点で、セブンの国内店舗数は、1万8785店舗)。

もっとも店舗数増加に関しては、単純に喜んでばかりもいられない。業界初の規模となる今回の統合は、同時にリスクもはらんでいるからだ。ファミマは10年にも、当時業界7位だったエーエム・ピーエムを吸収合併した経験を持つが、当時のエーエム・ピーエムの店舗数は約1100店舗と今回より小規模だった(実際にファミマとして残ったのは733店舗)。今回はそれをはるかに上回る店舗数を、2年半で統合するのだ。莫大なコストや労力もかかる。

それでもなお店舗数増大にこだわる背景には、「ドミナント戦略」(狭い地域への集中展開)を徹底させたい思惑がある。日本のコンビニを事実上生み育てた鈴木敏文氏が、セブンの事業スタートに際し、出店エリアを厳格に制限してきたのは有名な話だ。1号店が豊洲にオープンして以来、当面は新規出店を「江東区から一歩も出るな」と指示したという。

ある特定の地区に限定して大量に出店するメリットは、物流の効率化と宣伝コストの抑制にある。一気に全国展開すれば、広範囲エリアに物品を配送する労力・コストは跳ね上がる。当初からそれを見据えてドミナントを徹底してきたセブンと、後続のローソン、ファミマに、次第に体力面で差が表れた理由の一つだ。今回の統合で、ファミマは物流コストを1年間で約40億円カットできると見込んでいる。なかでも東京、愛知、大阪の3大都市圏で、セブンを抜いて店舗数トップに躍り出る意義は大きいと考えている。

タイのセブンのコンサルタントを担当している物流コンサルタントの池田勝彦氏は、今回のファミマ戦略を、「理にかなった王道の道筋」と評価する。

「ファミマやローソンなど、商社が筆頭株主のコンビニは、これまでどうしても店舗数勝負という発想に偏りがちでしたが、国内のコンビニ総店舗数が5万を超えた今後は、他社を圧倒する魅力的なオリジナル商品・サービスの創造が求められます。今の消費者は、舌も肥えており、一度でも食べた弁当がまずければ、別のコンビニに行ってしまいます。いい商品を生み続け、売れない商品は店頭に並べない。まさに鈴木敏文氏が掲げた『単品管理』の徹底を、ファミマは行っている段階なのだと思います」

(撮影=原 貴彦)
関連記事
セブンの人事より気になる「コンビニ業界の今後」
1日平均売上高ナンバーワン店舗はどこか?
なぜコンビニ弁当を食べると健康になれるのか?
伊勢丹新宿本店「日本一の百貨店」の価格戦略ストーリー