「流通の神様」と称された鈴木敏文氏がセブン&アイ・ホールディングス会長を退任した。コンビニという業態を進化、革新させてきた偉人の退場が、セブン-イレブンの経営やサービスにどのような影響を与えるのか。今年の新商品などはほぼ固まっており、古屋一樹新社長ら新体制がどう変えようとしていくのか、それは来年、再来年になってみないとわからない。

その一方で、コンビニ業界でいま最大のトピックと言えば、ファミリーマートと、サークルKサンクスを傘下に持つユニーグループ・ホールディングスとの統合だ。9月に新会社が発足し、そこから2年半かけて店舗の看板と商品を統一させる。単純合算すれば、総店舗数は1万8000弱となり、首位セブン-イレブンに迫る2位に。この統合がいかにスムーズに、かつ効果的に終えられるか、注目を集めている。

それに対し、最も危機感を抱いているのがローソンだ。玉塚元一氏が会長になり、新社長に三菱商事出身の竹増貞信氏を迎えた。この背景には、大株主の三菱商事と関係を強化し、店舗数で上をいくことになる合併後のファミリーマートに対抗していくことが念頭にあると見られる。

6月、ディスカウントスーパーのオーケーも三菱商事出身の二宮涼太郎氏が社長に就任。ライフコーポレーションの岩崎高治社長も三菱商事出身なので、コンビニという枠組みを超えて、スーパーのシナジーのあり方など、どのような戦略を組み立てていくのかに注目したい。

またローソンはファミリーマートと対照的に、他社とのゆるやかな連携を志向している。中小のコンビニチェーンであるスリーエフやポプラ、高知県でシェアを持つサニーマートなどと提携し、一部不採算店をローソンに店舗替えするなどしている。

各社それぞれに注目点があり、この数年が正念場となりそうだ。

(構成=衣谷 康)
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