「営業のプロセス・マネジメント」5つのポイント

図を拡大

この問題を考えるうえでまず、相手の顔が見えるケースと相手の顔が見えないケースを区別しておきたい。顔が見えるケースとは、生産財取引や対流通業者取引にあたる。売り込む相手や組織や担当者が見えているケース。顔が見えない相手は、不特定多数に販売するケース。広く消費者一般に販売するケースを考えればよい。前者の場合、人、つまり営業担当者が取引のプロセスに介在する。後者の場合、人では対応ができないので、ブランドという媒体を用いてプロセスのマネジメントを行う(図2)。

今回はこのうち、相手の顔が見えるケースにおけるマネジメントを検討することにしよう。仮想的な事例を用いて、営業のプロセス・マネジメントのさわりを紹介する。ポイントとなるのは、以下の5点だ。

[1] プロセスの分割
図を拡大

顧客の購買プロセスに合わせて、営業プロセスを分けることが基本だ。基本的には、顧客の購買行動(自らの課題を認知し、深く理解し、態度を決め、交渉に入る)に沿って営業プロセスを分ける。

たとえば、IBMでは、SI(System Integration)という商品を販売するにあたって、営業プロセス・マネジメントの仕組みをつくっている。Signature Selling Method(SSM)と呼ばれるやり方である。営業プロセスは、図3のように7段階に分けられている(拙著「『営業が変わる』岩波アクティブ新書」参照)。

[2] 営業ステップ

第2に、当該商品について関心を持ち、かつ競合相手ではなく自社と取引したいと考える取引相手とのみ商談を進めることだ。そして、相手のビジネス課題や課題についての理解レベルに合わせて適切なテーマを選び、相手の課題解決に向けて最適解を提案する。それが営業担当者の課題だ。