セブン思考なら――「4回失敗も挑戦する」
一方、鈴木敏文氏が会長を務めるセブン&アイ・ホールディングスではプレッシャーをどう乗り越えるのか。セブン-イレブン・ジャパン取締役常務執行役員商品本部長の鎌田靖氏は、部下に「失敗を恐れるな」と指導している。
「萎縮して消極的になるのはよくない。弊社は失敗を恐れずに挑戦しやすい風土があると思う。鈴木敏文会長は自ら新しいことにチャレンジしたことに対しては、たとえ失敗したとしても責めたりしません」
セブン&アイグループにおいて失敗がマイナス評価にならないことは、鎌田氏自身の経験が証明している。セブン-イレブンは2013年から「セブンカフェ」を展開して大成功させた。しかし、それ以前に店頭でのコーヒー販売に4度挑戦しており、4度とも定着には至らなかった。指揮を執っていたのが、当時マーチャンダイザーとして担当していた鎌田氏だった。
「4回目の挑戦では導入店が2000店まで広がったのですが、思ったより売れず、最終的には断念しました。その次の担当者が苦しんで生み出したのが、いまのセブンカフェです。私は失敗続きでしたが、原因を突きとめて次に活かせと言われただけで、責任をとらされることはなかった。失敗を責める空気があれば、私は何度も挑戦できなかっただろうし、あとから手を挙げて『自分にやらせてくれ』という社員も出てこなかったでしょうね」
プレッシャーをいい意味での緊張感に変えて、失敗を恐れずに挑戦する。それがセブン流だ。
京セラ社長。1978年、同志社大工学部卒。京都セラミック(現京セラ)入社。半導体部品国内営業部長、半導体部品事業本部長などを経て2013年から現職。
セブン-イレブン・ジャパン執行役員オペレーション本部付。中央大学文学部卒。セブンカフェや自社開発商品のセブンプレミアムをヒットさせた。