「大きな声で挨拶」は本当にマナーなのか
一方、オフィスワークがメーンの業界では、身だしなみや敬語に関しては完璧にこなす人が多い印象です。しかし、これらの業界ではあまり縦の人間関係が重視されないので、「仕事中に必要以上に大きな声で話されると、仕事はできても品格がない人だなと感じます」(通信・匿名希望)、「取引先の担当者は定刻に到着し、その上司は数十分後に到着。その場で『一番偉い人』だとしても、人として一言くらいは謝ってほしかった」(不動産・匿名希望)など、建築業の人たちとは真逆の価値観からくる回答もありました。むしろそういった企業では、大声で挨拶をすることのほうがマナー違反。オフィスの全員から「どうしたんだ?」という目で見られ、たちまち浮いてしまうでしょう。
これは少し極端な例ですが、私の知り合いに保険業を営む非常に優秀な男性がいます。彼は、プライベートでも、一緒にいる私が気疲れしてしまうほどマナーを重んじます。一度など、レストランでうっかりコーヒーをこぼした私に対して、「服についたならしみ抜きを貸そうか?」と言ってきたほどです。お客様に同じアクシデントが起きたときのため、彼はしみ抜きをはじめとする独自の「応急処置セット」を常に持ち歩いているというのです。
こう言っては何ですが、保険はどの会社の商品を選んでも、あまり違いがありません。
そのため、お客様にとっては「何を買うか?」より「誰から買うか?」が重要になり、彼のような好成績を残すためにはマナーの鬼となる必要があるのでしょう。とはいえ、その必要のない私にまでマナーを徹底するのは、一種の職業病ともいえます。