“予習”型の発想で週明けも楽しく

たとえば会議でも、しっかり予習して出席すれば、何か質問されてもパッと答えられる。頭の中があらかじめ整理されているからだ。会議中にあれやこれやと考え始めるのは、出席者全員の時間を無駄にしているようなもの。

「その出席者がちゃんと予習してきたかどうかは、発言を聞けばすぐにわかります。予習してこなかったなと感じたときは、鋭い質問を1つ投げてみれば確かめられますよ」

全員が予習して参加する会議は、スムーズに進行して短時間に終わらせることができる。岡藤社長になってから、以前は3日かけていた経営会議が1日で済むようになったという。予習によって、それだけ内容の濃い会議ができるということだ。

週初めから勢いよく仕事をスタートするためには、休日の過ごし方も大切だ。たとえ仕事のことは考えなくても、頭の中を空っぽにしたのでは、スタートダッシュで差がつけられない。

「仕事を一切忘れてしまうと、頭がぼけてしまいます。夏休みの1週間、まったく仕事のことを考えないというのでは、休み明けに出社してもしばらくの間は仕事にならないでしょう」

もちろん、休日にリラックスするな、リフレッシュするなという意味ではない。たとえば、家族と休日を過ごしながらも、頭の片隅のどこかに仕事のことを置いておく。レジャーや買い物に出かけても、ふと見聞きしたことが仕事のアイデアに結びつくかもしれないからだ。

この心構えでいれば、休み明けにためたアイデアを使おうと、前向きに、フルスロットルで仕事に向かえるはずだ。

▼仕事が速い人の3つの共通点

[1]最も重要なものから手をつける
仕事の順番は最も重要で、量の多いものから手をつけると精神的な余裕ができる。周囲も仕事ができていると評価するだろう。それ以外の仕事は後からでも対処可能なことが多い。
[2]その日の仕事はその日のうちに
その日の仕事に全力で取り組むには、前日の仕事を翌日の朝に残さないこと。急な得意先からのクレームや上司からの頼まれごとにも落ち着いて、柔軟に対応することができる。
[3]週末は翌週の「予習」を
オフだからと仕事をすべて忘れるのではなく、次の戦略や会議のことを思案することでいつもとは違う発想が浮かぶ。やりたいアイデアが出てきて、休み明けはやる気満々で出社できる。

伊藤忠商事社長 岡藤正広
1949年、大阪府生まれ。東京大学経済学部卒業後、伊藤忠商事入社。2002年ブランドマーケティング事業部長、執行役員。04年4月常務執行役員、繊維カンパニープレジデント。同年6月常務取締役、06年専務、09年副社長を経て10年より現職。
(Top communication=構成 的野弘路、貝塚純一、太地悠平=撮影)
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