▼対策

では、早めの就寝時間を設定するためにはどうしたらいいか。例えば、古川氏が朝5時を目標とする顧客に早起き習慣を定着させる指導をする際、伝えているのは、「何があっても夜7時を退社時間すること」である。

帰宅に1時間、夕食・入浴に1時間、リラックスタイム1時間。どんな要職でも多忙でも、このくらいの時間的ゆとりは持つべきで、そうしたオフタイムを減らす行為は絶対にしないのが、むしろ早起き継続のコツだという。

そうなると、問題はどうやって夜7時に退社できるようにするかだ。

「容赦なく、7時に家に帰る、と心に決めれば、当然、それまでの仕事の効率化をさらに高めようと工夫します。ある管理職の顧客は、仕事中、多くの時間を割いていたのが、部下から受ける仕事の進捗報告や相談ごとなどへの対応だとわかった。部下のなかには相談内容などがコンパクトにまとまっていないことも多い。そこで、面談受付は夜6時までで、事前に相談したいことや課題などを個条書きでシートに書いてもらうようにすると、劇的に時短化でき、夜7時退社を実現。早起き習慣につなげられました」(同)

もちろん、「大人の事情」で7時退社ができない日もあるだろうが、早起き習慣が定着するまでは飲み会などは遠慮するなど万難を排したい。

挫折原因3
「張り切って5時起き」

▼傾向

何をするにも“ロケットスタート”したがる人はいる。だが、今までのんびり7時半まで寝ていた人が、さあ早起きするぞといきなり5時起きを決意しても、結局は目標倒れになってしまうことが多いと、古川氏はいう。

「大事なのはベビーステップです。最初は無理せず、小さな一歩、比較的簡単なことから始めるのが、継続と習慣化のポイントです」(古川氏)

図は、古川氏がこれまで指導した顧客への聞き取り調査などで判明した早起きを含む習慣化計画の挫折率。面白いのは新しく始めた習慣を「とにかくやめたくなる」のは最初の1週間だということ。全体の42%が、早々に計画倒れになってしまうのだ。

「人間には新しい変化に抵抗し、いつも通りを維持しようという傾向があります。生理状態を一定にコントロールしようとするこの働きを『ホメオスタシス』といいます。変化は脅威。それは新習慣に対してもいえること。多くの人が早起きを始めても3日坊主に終わってしまうのは、いわば心のホメオスタシスにより、人の心が脅威に感じるからなのです」(同)