三大要件は「真実」「ストーリー」「使いやすさ」
発行者である企業が期待する3つの役割を発揮するためには、会社史はどのような要件を備えていなければならないか。以下では、良い会社史の要件について掘り下げる。
1.真実
良い会社史の第一の要件は、いうまでもない点であるが、真実にもとづいて書かれていることである。虚偽を書いたり、その企業の歴史を語るうえで当然言及すべき事柄を書かなかったりすることは、あってはならない。また、きちんとした事実の裏付けを行わずに、「こうであっただろう」「こうであったに違いない」という憶測や思い込みによって記述することも、避けなければならない。
このような問題が起きないようチェックするためにも、会社史のバックデータとなる企業史・資料については、執筆者・編纂室・制作者(編集者)の手元に、それぞれワンセットずつ置いて、ダブルチェックないしトリプルチェックする体制をとることが大事である。会社史を作る過程では大量の情報を処理しなければならないので、意図せざるミスが起こりうる。データに関するダブルチェック、トリプルチェックは、きわめて重要な作業である。