3.使いやすさ

良い会社史の第三の要件は、使いやすいことである。

「使いやすい」に近い言葉で「見やすい」、つまり「ビジュアルに訴える」というのがある。ビジュアルが悪いよりは良いほうがいいが、このことは本質的な点ではない。会社史はあくまでも中身で良し悪しが決まるのであって、より大きな問題は使いやすいか否かという点にある。そもそも、ビジュアルをめぐる状況は非常に激しく変化するので、現在ビジュアル面で最先端を走っていた会社史が、10年後も引き続き先頭を維持していることは、ほぼありえないであろう。

「見やすさ」より重要なのは「使いやすさ」であり、会社史を使ってもらうためには、まず、使う気にさせるような中身を盛り込まなければならない。そこでは、きちんとした構成をとり、ストーリーもわかりやすいことが、ポイントになる。もちろん、会社史の執筆者の筆力も、決定的な要素である。

また、会社史が知識の宝庫である点から考えて、検索機能がもつ意味も大きい。索引がついていない会社史は、それだけで良い会社史とは言えない。充実した索引がついていること、できればデジタル化されたバージョンがあり検索が容易に行えること……。

これらは、良い会社史が備えるべき本質的な要件だと言っても、けっして過言ではない。

(平良 徹=図版作成)