飲み方革命は起こせる?

そしてもうひとつのアプローチは、「新しい飲み方」の提案です。ハイボールは今でこそ、居酒屋などにおける定番ドリンクとなりましたが、10年前には一部のウイスキー好きが飲むマイナーな存在でした。しかし、サントリーが「ウイスキーの炭酸割り」を「ハイボール」という名称で、しかもジョッキで飲むというスタイルを提案したことで、「新しい飲み物」として普及していったわけです。

世の中には白ワインを炭酸で割った「スプリッツァー」というカクテルがあります。ロゼワインのすっきりした味わいを生かして、より軽やかに楽しむには、このように炭酸で割るスタイルを押し出すことも、ありなのかもしれません。

またフランスでは、ロゼワインをグレープフルーツジュースで割った「ロゼ・パンプルムース」という飲み物が人気を得ているようです(パンプルムースとは、フランス語でずばりグレープフルーツのこと)。日本でもワインを出す店では「サングリア」という、主に赤ワインにフルーツなどを組み合わせたカクテルが定着しつつあります。ロゼワインとフルーツやジュースとの組み合わせにも可能性はありそうです。

まだまだマイナーな存在のロゼワインですが、果たして日本でもブレイクする日は来るのでしょうか。おいしい選択肢が増えること自体は、素直に歓迎したいと思います。

子安大輔(こやす・だいすけ)●カゲン取締役、飲食プロデューサー。1976年生まれ、神奈川県出身。99年東京大学経済学部を卒業後、博報堂入社。食品や飲料、金融などのマーケティング戦略立案に携わる。2003年に飲食業界に転身し、中村悌二氏と共同でカゲンを設立。飲食店や商業施設のプロデュースやコンサルティングを中心に、食に関する企画業務を広く手がけている。著書に、『「お通し」はなぜ必ず出るのか』『ラー油とハイボール』。
株式会社カゲン http://www.kagen.biz/

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