東京の世帯数は「1300(万人)÷2(人/世帯)=650(万世帯)」。上下水道が普及している世帯数は「650(万世帯)×100%=650(万世帯)」。その結果、マンホールの数は「650(万世帯)÷10(世帯/個)=65万個」と推定される。
入社試験ではここで終了となる。しかし、重要なのはこの後の「検証」である。フェルミ推定では結果を検証し、正解と大きく違った場合、どこが間違っていたのかを考える。
たとえば、仮説だったのか、データだったのかと。ちなみに、『東京都の下水道2014』(東京都下水道局発行)によると、2013年度末の都内のマンホールの数は48万4078個。約50万個だから、65万個という推定数はそう悪くない数字といえよう。
これは実際のビジネス現場でも同じだ。期初の売り上げ予想に比べ、実際は大幅に下回った、あるいは大幅に上回ったとすれば、その結果を検証する必要がある。
企業がフェルミ推定を採用試験に出す背景として、世の中の価値観の多様化や、変化の早さがあると考えられる。商品サイクルはもちろん、ビジネスモデルでさえどんどん変化するなか、ビジネスパーソンは自分が置かれた状況で正しい答えを素早く導き出す力が必要となる。
そのときに直感に頼るのは危険である。そこで論理的に考えて、「正しいはず」という根拠に基づき結論を出せば、正解にたどり着く可能性は高いし、仮に間違っていても納得感があるだろう。そうした論理的思考力がビジネスパーソンには求められているのだ。