「できればわが子を一流企業に入社させたい」というのは多くの親にとって共通の願い。読者諸氏とて例外ではないだろう。そこで今回は、日本のみならず世界の超一流企業の入社試験を独自に入手してご紹介。さらに有識者の視点から、入社試験の現在、そして未来についても明らかにしていく。

※「リサーチプラス」にて、1000人を対象にしたアンケートを実施(2014年7月29~30日)。試験問題はそこでの結果を受けて再構成しているため、実際に出題されたものと異なる場合があります。入社試験には、筆記試験だけでなく、ES、グループディスカッション、面接なども含みます。

いまだ苦しい就活戦線

アベノミクスを背景に、企業の採用意欲は高まっていると言われている。就職活動の厳しさも少しは和らぐかと思いきや、恩恵を受けるのは優秀な一部の学生に限られるようだ。採用担当者への研修も行う「大学生の就職活動ガイド」(All About)の小寺良二は語る。

「『足切り』というと聞こえが悪いですが、日本の50%以上の企業が『ターゲット大学』を決めていると言われています。そこに入るのは、旧七帝大と東工大、一橋大、筑波大、早慶、GMARCH、関関同立など学力優秀とされる上位約20校。エントリーシートの段階で絞り込み、そこからSPIによる地頭力や一般教養のチェックに加えて、企業が独自の問題を課すのが王道。もちろん、面接でも地頭のよさは測れますし、ある程度の対人能力はSPIでもわかるので、厳密に分かれているわけではありませんが」

▼例題
[Q1]あなたは何のNo.1なのかプレゼンしてください。(ソフトバンク)
[Q2]お昼ご飯を食べてください。(日本電産)
[Q3]マンガ『ワンピース』のキャラクターでないものを選べ。(朝日新聞社)
[Q4]物故者に関する作品や業績の組み合わせで誤っているものを選べ。(NHK)
※答えは本文末に

内定をもらう学生は数社から内定をもらい、就職先が決まらない学生は何社受けても決まらないまま……。なんとも厳しい時代なのである。そんななかで、上記に挙げたような企業独自のユニークな問題は、どんな位置づけになるのだろうか。

「一般的な問題では測れない、業界や職種への適性を見るために使われます。マスコミや広告などクリエーティブな発想力が求められる業界ではユニークな問題、IT系のビジネススピードの速い業界では、『フェルミ推定系問題』や『ビジネスケース系問題』など、思考力を問う問題が出されることもあるようです。また、規模が小さい、採用年数が浅い、日本電産のように社長の考えが直に入社試験に反映される構造の企業も、難問・奇問と呼ばれる問題を出す傾向に。私が採用に関わったアムズプロジェクトという会社では、社長の“情を大切に”という方針から、最終面接を受ける学生に寅さんシリーズを見せて『泣けたら採用!』としていました。一見適当な選考手法に見えますが、価値観レベルの適性を重視した点では理にかなったやり方」(小寺)

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ドーナツを穴だけ残して食べる方法を答えよ。(PIXTA=写真)

企業の広報・ブランド戦略の立案サポートを担当し、各社の入社試験にも携わるPRマネジメント代表・渡瀬裕哉は、企業の立場からこう語る。

「『富士山の体積を求めよ』という解答を推定するタイプの入社試験は、日本でまったく流行しませんでしたし、これからもないでしょう。むしろ企業が知りたいのは、自分をうまくPRできるかどうかだけ。それは営業の現場でも社内のプレゼンでも必要なスキルだからです。端的に言えばソフトバンクの入社試験『あなたのナンバー1をプレゼンしてください』です。『自分の一番』が『ソフトバンクにとって必要な一番』かをプレゼンするわけです。私は『ドーナツを穴だけ残して食べるには?』型試験と呼んでいます。自分の商品の魅力を手段を問わずPRできる企業がこれからの社会で生き残るのであれば、それに見合った人材を採用するのが道理。むしろ、出題する企業側が試されているのです」