本当に使える人材とは? 最新入社試験事情

渡瀬の意見を裏付けるかのように、難問で知られるGoogleは「ユニークな入社試験にはあまり効果がなかった」として問題の方向性を一新。今、入社試験の新しい波がきているという。

「インターンシップなどのプロジェクト型選考が増え、『現場で本当に使える学生』を企業は採用しようとしています。海外では通常インターンシップを経て採用していますが、日本もその流れを汲んでいるのでしょう」(小寺)

学生も中途採用と同じように働きぶりを見られる時代がきたのだ。さらに、渡瀬は試験すらなくなる可能性も示唆する。

「三菱商事、日本銀行、日本生命などの大手企業では、今でも優秀な後輩を勧誘する『リクルーター制』が生きています。最近、トヨタ自動車でもリクルーター制が復活しました。今後は、優秀な学生を企業が迎えにいくスタイルが増えていくかもしれません」

このように「本当に使える学生」を求める企業の究極の関心事が、心の問題。うつ病による退職率の高まりは、業界を問わず企業を悩ませているのだ。

「うつ病や新型うつなど、メンタルヘルスの問題で働けなくなる社員は多くの企業にとって悩みの種。いくら優秀でも、自分の業界に合っていても、働いてくれなければ何の意味もありませんから。そこで近年、最終面接付近で『ストレス・メンタルヘルス診断』を実施する企業が圧倒的に増えています。種類はいろいろありますが、現在メンタルヘルス疾患を抱えている学生、これからメンタルヘルス不調になる可能性が高い学生を見極めることができる、いわゆる“ボトムチェック”と、コミュニケーション能力などが高く、ビジネスでも高いパフォーマンスを発揮しそうな学生を見極める“トップチェック”が同時に行える診断が人気です。心理テストのような感覚で受けられるのに、うつ病や発達障害についても診断できるようです」(小寺)

最新の入社試験では、本人が気づかない心の病まで見抜いてしまうのだ。優秀な人材をめぐる企業間の闘いは、内定をめぐる学生たちと同じくらい熾烈な闘いなのかもしれない。(文中敬称略)

※冒頭の答え [Q1]本文中に解答あり[Q2]日本電産社長曰く「(マナーに関係なく)15分以内に食べた人を即採用」[Q3]D[Q4]B