※プレジデント誌の特集「トヨタvsグーグル」(2013年9月16日号)からの転載記事です。
日米企業を問わず人事評価の最大のポイントは、評価される者が公平性、納得性を感じることだ。一般的に評価は行動などの定性評価と数値で表す定量評価に大きく分かれるが、グーグルは徹底して定量評価にこだわる。
定量評価といっても、あえて達成しやすい目標を設定し、150%達成したから昇給する、という単純なものではない。
「最終的にはテクノロジーカンパニーとして、世の中にどれだけの付加価値をあたえたのかが評価の基本にあります。したがって、私と部下が話し合って『今回はがんばったね』で終わることはありません。作った製品が具体的にどれぐらい売れたのか、あるいはクリック数などを見てユーザーにどれくらいのインパクトを与えたのか。最終的には検索が増えたら広告料金につながり、売り上げデータに表れますし、公平な観点から評価が出てきます。製品のデータをはじめ世界中で緻密に見ていますし、それがうちの強みでもあります」(製品開発本部長の徳生健太郎氏)
公平性、納得性を担保する評価ツールや分析手法の開発は同社の人事部である「ピープルオペレーション部」が行う。驚くのは人事部員の3分の1が数理の専門家で占められていることだ。
「人事部門の担当者の33%は数学者あるいは統計学を専門とする科学的な解析・分析スキルを備えたスペシャリストで構成されています。人事制度の仕組みや人事評価はフェアでなければいけません。データを駆使し、評価などの人事政策がうまく機能しているかどうかを検証し、改善を図っています」(アジアパシフィック・ピープルオペレーションヘッドのサラ・ロブ氏)
博士号を持つ専門家もいる。ちなみに3分の1は元々人事畑の出身、残りの3分の1はビジネスコンサルティングの専門家だ。