人事評価は具体的な成果や業績に基づく評価と同僚などチームのメンバーが行う多面評価の2つに分かれる。

社員の成果は四半期ごとにチェックされ、実績を測定する。マネージャーには年に2回実施される。そして成果と多面評価調査による社員全員の総合評価を年に1回実施している。

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各種データを採取、緻密な分析のもと決定

「具体的な売り上げ数値やインパクトなど定量的評価もしますが、それをどうやって成し遂げたのか、どういうチャレンジをしたかはデータに出ません。ほかのグループとどんな仕事をして、どういう効果を上げたのかも含めて、上司だけではなく同僚からも評価してもらう仕組みがあります。同じ現場で仕事をしている人のほうがマネージャーよりよくわかるということです。チームメンバーなどの客観的評価を加味することで、変な言い方をすれば、ウソをつけないような状態にすることができます」(徳生氏)

多面評価は一般的に匿名が多いが、同社は実名で評価する。人事の解析チームが多面評価調査を分析し、その結果を抽出し、被評価者にフィードバックされる。たとえ本人が不満を抱いても納得せざるをえない具体的データを突きつけられることになる。

また、それだけでは終わらない。マネージャーの仕事ぶりに関する調査結果を徹底的に分析し、力量向上のためのフォローアップも行う。たとえば、マネージャーの仕事ぶりに関する10項目ほどの他者の調査結果からトップ20とワースト20を出し、トップ20の仕事ぶりを分析してマネージャー同士での共有を図る。同様にワースト20についても分析し、人事部門の担当者が直接マネージャーに会って改善を促すなどのアクションをとる。こうした取り組みによって、調査を実施するたびにマネージャー全員のスコアが上がっていくのだと言う。

公平性、納得性の評価は昇進でも同じだ。昇進に関する評価は上司も行うが、実際に昇進させるかどうかの審査は、その都度開催される社内の会議で審査される。本当にポストに据えるべきかどうかあらゆる角度から審査を受ける。当然ながら、審査のベースになるのは人事部が収集した情報と解析したデータである。

(ライヴ・アート=図版作成)
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