ベッド、車いすが介護保険対象外になる
そうした福祉用具が介護保険の給付から外され、自己負担になったら……。大半の家庭は、経済的にも維持することが難しく、用具を返品するしかなくなるでしょう。
となるとどうなるか?
介護保険適用で成り立っていた福祉用具レンタル会社の経営が窮地に陥ります。より良い介護のために知恵を絞った福祉用具の開発もストップがかかるかもしれません。
また付随することですが、福祉用具レンタル会社では返品されるであろう大量の用具をどう保管するか、あるいは処理するかで頭を悩ませているそうです。
肝心の要介護者が置かれる状況も心配です。
たとえば、介護の利便性が満載された介護用ベッドが使えなくなったら、寝床に寝かされるわけです。上体も起こせず、上下動もできない寝床では十分な介護はできません。レンタルできる福祉用具には床ずれ防止のマットもありますが、それもなくなれば床ずれの心配もあります。
福祉用具とそれを利用する家族によるサポートでなんとか軽度者でとどまっていた人が重度化する状況に置かれるリスクがあるのです。財源が厳しいからといって、こんなことになったら本末転倒ではないでしょうか。
実はFさんにこの話を聞いていた時、長年のつきあいのあるTさんというケアマネージャーが同席していました。Tさんは、この話にとどまらないといった感じで加わりました。
「軽度者といわれる要介護1と2の人たちは、もし今回の改正案が実施されたら、介護保険料を払ってきて何でこんな目に遭わなきゃなんないんだと思うでしょうね。国の財源が厳しいのはわかっています。が、それでこれまで受けてきたサービスが受けられなくなるのは辛過ぎます」(Tさん)