長らく企業の多くを占めていた「おじさん中心社会」は、女性の中堅社員が増える2025年ごろには崩壊するという。しかし、法政大学ビジネススクールの高田朝子教授は「女性管理職が増えても、今後は『育児と介護の両立』という新たな問題がやってくる」と指摘する——。
労働力人口女性の7割が就業している時代
夕方6時半すぎの商店街。背広姿の父親が小さな子どもの手を引いてスーパーマーケットに入っていく。背中にリュックサック型のビジネスバッグを父親は背負い、子どもは一生懸命、保育園での出来事を話している——。よく日常で見かける光景である。
最近の親子の姿を観察すると、20年前と比べて相対的に親の年齢が上昇していることに気がつく。若いお父さんお母さんというよりは、もう少し大人の両親が目立つ。子どもを持つ年齢が上昇し、女性は働き続ける。人口減少の中で晩婚化が進みそれに伴い第1子の出産年齢も高齢化しているからである。
数字にもこの現象は裏付けられている。2019年8月末の労働力調査では15歳から64歳までのいわゆる「労働力」とされる女性の就業率が71.2%となり、働く女性の割合が過去最高になった。平成元年(1988年)の59.5%から12ポイント弱増加し、現状では労働力人口女性の約7割が何らかの形で就業していることになる。
同時に平均結婚年齢と出産年齢は上昇し続けている(図表参照)。特に都心部ではその傾向は顕著である。2016年を例に取ると、男性の初婚年齢は全国平均で31.1歳、東京都のそれは32.3歳。女性は全国平均で30.7歳、東京都は32.5歳で、男性は1.2歳、女性は1.8歳全国平均よりも高い。さらに女性の第1子平均出産年齢は全国平均で30.7歳、東京都は32.3歳で1.6歳高い。都会の男女は結婚が遅く出産も遅い。
さらに、わが国の合計特殊出生率は1975年以降2.0を切り低下傾向を顕著に示し、2018年度は1.42であった。これはわが国の標準が「一人っ子と親」という家庭になったことを示す。