自分のメリットとなるように怒りを表に出す
怒りを分析したら、いよいよ怒りの表明です。ここで大前提となるのは、自分のメリットになるよう表明すること。怒りを伝えても状況が変わりそうにないとか、放っておけば時間が解決してくれるという場合は、怒りを表明しないという選択肢もあります。怒りを抑え込むのと同じように思われるかもしれませんが、自分の意思で選択したのか、漫然と封印したのかではまるで意味合いが違うのです。
では、具体的な怒りの表明ですが、職場でよくあるのは、上司からの理不尽な仕事の依頼でしょう。たとえば、退社時刻直前に至急の書類作成を言い渡されるようなケース。期限は翌日。残業をしなければ間に合いません。
こういうときの怒りは、自分の利益が侵害されたからこそ感じるのです。仕事を強いられて、退社後の予定が台なしになることへの怒りです。
その怒りをあらわにして、「勘弁してくださいよ。こっちにも予定があるんです」と返したら、上司にたてつく生意気な部下と思われるのがオチです。「融通がきかない」と仕事上の評価が下がることも考えられます。逆に、「はい、わかりました」と怒りを抑えて受けたら、今後も同じような至急の依頼が繰り返されるかもしれません。
ならば、どうすればいいのか。この場合の“ベストアンサー”は、妥協点を見つけて交渉することです。
「今、急ぎの案件を抱えているので、明日までというのは難しいのですが。今週中ではいかがでしょうか」と期限の交渉をするのが1つの方法。
「この件は私ではわからない部分がありまして。お力添えをいただきたいのですが……」と、上司に手伝いを要求する手もあります。こう返せば、無理な依頼はできないと感じるはずです。それでも繰り返されるようなら「これからは数日前に頼んでくださるとありがたいです」と釘を刺すのも一案です。