【田原】世界で争うとしたら、ライバルは日本の自動車メーカーよりグーグルですか。

【谷口】レベル4のサービスで競合するのはウーバーでしょうね。勝算はあります。技術の追求も大事ですが、ビジネスとしては先に実装したほうが勝ち。私たちはロボットタクシーを日本で成功させ、アジアにもすぐ展開します。アジアを獲れば、世界でも優位に立てるはずです。

【田原】頼もしいですね。ぜひ頑張ってください。

田原氏への質問:ずばり、商売で成功する秘訣は何ですか?

【田原】僕は商売人じゃないから、成功する秘訣はよくわかりません。これまでさまざまな経営者と会ってきましたが、成功の共通点は見出しづらいというのが正直なところです。

ただ、失敗するパターンはある。それは、値下げすることです。価格を下げることでしか勝負できなくなったら、たとえ名経営者でもかなりの確率で失敗します。価格を下げるということは、価格に見合う付加価値がないということ。あたりまえですが、付加価値を生み出せない商売は長続きしない。より安く売るところと我慢比べになって、最後は倒れるだけです。幸い、自動運転車は付加価値が高い事業に思えます。自分たちが提供できる価値を見失わないことが大切です。

遺言:商売の失敗は、値下げから始まる

田原総一朗
1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所入社。東京12チャンネル(現テレビ東京)を経て、77年よりフリーのジャーナリストに。若手起業家との対談を収録した『起業のリアル』(小社刊)ほか、『日本の戦争』など著書多数。
(村上 敬=構成 宇佐美雅浩=撮影)
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