当事者意識をいかに保たせるか
臨機応変、即時実行――同社のこうしたDNAは他グループ企業にも流れている。スマートフォン向けマーケティングをメーン事業とするサイバーZの「先送り撲滅会議」もその1つ。「あした会議」をベースに、1泊2日の合宿で、フレッシュなアイデアや経営課題を「先送り」させないために、その場で「必ず決めて、実行する」意思決定の場だ。
今回、15年前期の新緑のさわやかな風が吹く軽井沢で行われた同会議を実際に見学させてもらった。
「先送り撲滅会議」は、役員を中心としたリーダー6人が人選した6人のチームで構成。社長から事前に提供された課題に対し、各チームが持ち時間3分でプレゼンする。それに対して山内隆裕社長が単刀直入に意見。山内社長のコメントを踏まえ、再度プレゼンを行う。これを数回繰り返し、最後に高得点を獲得したチームが優勝する。その過程がオープンで、誰から見ても納得できる仕組みにしているのがポイントだ。初日の点数が既定のラインに満たないチームは宿泊せずに帰社させられるなど、ゲーム感覚のルール設定も面白い。
当日。参加メンバーたちはこの日のために、通常業務の合間を縫ってリサーチや討論を重ねに重ね、軽井沢の地に降り立った。新緑の風を感じる余裕はなさそうだったが、それだけ真剣に、しかし楽しそうに闘っており、社内の風通しのよさが見てとれた。
現在社員200人強の同社。09年の創業以来、順調に成長して社員数も増えた。そこで懸念されるのが「社員の当事者意識が薄くなることだ」と山内社長は言う。
「会社が大きくなると、会社の経営課題について、なんとなく気づいていても深掘りせず先送りにしたり、言わずに済ましがちです。そうならないよう、社員全員に当事者意識が欲しい」
当事者意識は、各人のポテンシャルを最大限に発揮させる起爆剤だ。チーム対抗戦にすることで、社員のやる気を引き出し、自ら経営課題や新規事業を見つけ出し、実現、改善するための計画を練るようになる。
与えられる課題は、各部門をまたいでおり、自分の担当部署領域に限らない。そうした課題に取り組むことで、社員1人1人が、担当領域はもちろん、会社全体を見渡す癖がつくという利点があるそうだ。