社員の士気を高める、ドラフト会議

今回、見事優勝した「青村チーム」のリーダー、取締役の青村陽介氏に会議の詳細を訊ねた。

サイバーZの“先送り撲滅会議”に潜入! (上)1度目の採点が終わり、各チーム案を再検討。社長の言葉をヒントに再挑戦する。(中)同じ案をブラッシュアップし、山内社長の2度目の採点で順位が決定。(下)見事優勝したチームにはハンマー杯が贈られる。賞金が目当てで頑張るわけではないのだ。

「年2回、会議は行われますが、だいたい本番の90日前にまずリーダーとなる人間が選ばれます。リーダーは役員中心ですが、役員以外から選ばれることもある。次に、メンバーを決めるドラフト会議を行います。このとき、自分の中でシミュレーションしてチーム編成のパターンをいくつか考えておく。欲しい人材がよくカブることがあるんです。本当に野球のドラフト会議同様に、生々しい緊張感にあふれている会議ですよ」

選ばれれば社員本人のモチベーションも上がるが、選抜はリーダーに一任。毎回のように選ばれる人もいれば、なかなか出番がない人もいる。

「会社全体にとって有用な提案ができるチームであることが絶対ですから、ただ“勝ちにいく”作戦に出てもうまくいきません。バランスが大切です。そのあたりを山内(社長)は一発で見抜きます。私は、いろいろな業務分野からメンバーをピックアップすることが多いですね」(青村氏)

メンバーが決まったら、山内社長から提示された議題からどの議題に取り組むか検討を始める。例えば今回の議題は「500~1000人になっても耐えられるマネジメントシステム」「幹部育成」「新しい分野、商品を見つけて参入検討、実行までを漏れなく素早くする方法」など。ここからどんな課題を選ぶかもポイントとなる。

メンバーになっても普段の業務が減ることはないので、時間の合間を縫いながらやりとりしつつ、週に1度程度集まり、チームのアジェンダと実現させるための具体的な作戦を練る。同じような施策を持つ他の企業に聴き取りに行ったり、率直に意見を聞くこともあるそうだ。

「本番1週間前くらいになったら、検討した50案程度のうち、10案ほどを山内に“当てて”みて反応を見ます。反応がよかったものから3~4つを選んで当日までに完成させる。リーダー同士は情報収集し合い、アジェンダが似寄らないように調整する。山内の言葉をメモにとり、後でじっくりニュアンスをくみ取るようにしています」(青村氏)

プレゼンの内容には、案を実現させるために誰にどんな仕事をさせるかといったメンバー編成までも含む。会議の評価は、その後の人事案にも関連するので慎重になるところだ。プレゼンが通ったら1週間後に遠方に転勤、といったケースも珍しくない。会議本番中にも、山内社長のコメントをフィードバックして変更が加えられるので、必ずしも当初の予定通りにはならないが、メンバーには案が実現したときに参加する意思があるかどうか、意思確認しておくことが肝要だ。

「あとは、普段バラバラの部署で働いているメンバーが短期で闘うチームとして一体になれるように、私がみんなにご飯を奢ります(笑)。期間中に6回くらい、食事したんじゃないかなあ。会議前日には奮発して焼き肉を食べて気持ちを1つにしました」(青村氏)

若者が飲み会や上司の誘いに応じないという嘆きが多い昨今、時代の先端をクールに突っ走っているサイバーグループもそうかと思いきや、意外にもベタにリアルな交流を大事にしているところが面白い。