新しいことがすぐ実行できる土俵づくり
結果、見事優勝した「青村チーム」からは「APAC(アジア太平洋地域)で事業をどう拡大するか」という案が通り、すでに実行に移されている。他のチームから提案された「経営者育成プログラムの実施」など、今回会議で、合格となった案がいくつも実行が始まっている状況だ。
ちなみに、先送り撲滅会議の優勝記念品はオリジナルのハンマー杯。正直なところ実用性はない。しかし、ハンマー杯を囲んで優勝チームが晴れやかに記念撮影をしている姿から遊び心と上昇志向を忘れずに、という社内風土が伝わってきた。
余談だが、渋谷にある社屋には、あちらこちらの社員の席上に名前の書かれた風船が揺れている。入社まもない社員の目印で、同僚たちが早く名前と顔を覚えられるようにという工夫だ。社内モニター画面には社員の仕事ぶりや活躍を伝える映像が流れている。
こうした温かな空気感が社内にあるからこそ、シビアな会議がギスギスした「闘い」にならずに有効に機能しているのだろう。「先送り撲滅会議は、若手抜擢の場、実力があるのに埋もれている社員の発掘の場でもある」と山内社長が言う通り、1人1人の個を見て、能力を適材適所で活かしきることが急激な成長の原動力となっている。
「スマートフォン市場はすごい勢いで日々変化しているので、常に新しいことに挑戦できる土俵づくりを意識しています」(山内社長)
大所帯となったサイバーグループだが、グループ全体に流れるDNAは変わらない。それは、即断即決即実行、という強い意志だ。
(向井 渉=撮影)