(5)学習の目的を明確にする

リーダー開発に投じる時間を最大限に活かすためには、課題を与える際、何を期待しているのかを明確にする必要がある。経験を通じて学ばせる「アクションラーニング」では、学習の目標を見失いがちである。「経験のために」仕事に取り組んでいるにもかかわらず、その仕事の結果に責任を負わされるからだ。

フィデリティ・インベストメンツのリーダーシップ・組織開発担当取締役、ジェニファー・ハーンデンは次のように語る。「アクションラーニングを導入したとき、『アクション』の要素が『ラーニング』の要素の影を薄くすることがあることに気づいた」。

たとえば、パフォーマンスがすばらしくなるよう自分の強みをベースにした職務を選ぶ参加者がいたのである。問題はすでに得意なことをやっても、多くを学ぶことはない、という点だ。

そのため現在では、参加者はアクションラーニングの際、チームで引き受ける職務の種類を定期的に見直すよう要求されている。

課題を与えるに際し「パフォーマンスだけでなく能力開発に対しても褒美を与えることを忘れてはならない」と、センター・フォー・クリエイティブ・リーダーシップの上席研究員、シンシア・マコーリーは言う。

有望な人材はすぐには育たない。しかし、効率的な能力開発の機会を与えることで、幹部のイスに向けての彼らの前進を加速し、そこで成功するために必要な経験とスキルを習得させることはできる。それができれば、ベビーブーマーが退職するとき、その退職は彼らを失うことを嘆く機会ではなく、彼らの幸福を願う機会になるだろう。

(翻訳=ディプロマット)