【田原】ビズリーチは最初、何人でスタートしたのですか。
【南】2009年4月の創業で、7人です。僕ともう1人以外は全員ボランティアで、みんな手弁当で平日の夜や週末に集まってくれました。
【田原】ボランティア? 給料もらえないのに、どうして集まってくれたんだろう。
【南】まわりにベンチャーをやってみたいという友達はたくさんいたんです。ただみんな家族がいたり生活があったりして、既存の仕事を捨てて飛び込むというところまではできなかった。それなら、野球好きの人が週末に草野球をするように、一緒に草ベンチャーやろうぜ、というのが僕のセールスピッチでした。
【田原】立ち上げ後は何をしましたか。
【南】まず広報活動して求職者から集めました。企業の求人のほうは当初、ヘッドハンターさんのところに行って「案件をうちに掲載してもらえませんか」と1社1社お願いしました。自前で企業様に提案できるようになったのは3年後です。求職者が数万人になったので、「これだけ優秀な人たちが集まっているので、ぜひ直接、声をかけてみませんか」と企業様に営業をかけるようにしました。
【田原】直接求職者に声をかけるってどういうことですか。
【南】いままでは人材紹介会社にすべてお任せするのが一般的だったのですが、僕らは企業様に求職者のデータベースを見てもらって、直接スカウトするということもやってもらったのです。この採用方法をダイレクト・リクルーティングといいますが、それをできるようにしたことが僕たちの強みでした。
【田原】いまはどれくらいの規模になりましたか。
【南】今年で6年になりますが、求職者は約46万人で、企業については3300社以上に使っていただくまでのプラットホームになりました。従業員も517人になりました。
【田原】そんなに伸びていたら、他社も参入してくるでしょう?
【南】じつはそうでもありません。既存の人材業界はいまだに収益率が高いので、儲かっているやり方を捨ててまでこっちにこないのです。いわゆるイノベーションのジレンマに陥っているのではないでしょうか。
【田原】今後のことをお聞きします。今度また新しいサービスを始めたそうですね。