今、こうした大型クルーズ船による中国人の団体旅行が急増している。国土交通省のまとめによると、14年にクルーズ船で入国した外国人旅客数は前年比2.4倍の約41.6万人。外国籍クルーズ船の寄港回数も654回でいずれも過去最高となった。このうち博多港は年間19回(13年)から99回(14年)へと急増し、全国の港で最も多くのクルーズ船を受け入れている。今年はさらに増え、約270回に達する見込みだという。

福岡市港湾局の南里隆幸港湾振興部長は「入管法の改正で、ビザが不要になったのも要因」と話す。

「今年1月から、法務大臣が指定するクルーズ船を対象に『船舶観光上陸許可』制度が始まり、訪日中国人はビザが不要になりました。寄港回数が増えるだけでなく、客船の大型化も進んでいます。需要は旺盛で、2年後の予定を押さえようとする船会社もあります。博多港では対応できる岸壁は2つしかないため、岸壁の増設が喫緊の課題になっています」

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中国人は「日本での買い物」が大好き

訪日中国人の目的は何か。観光庁の「訪日外国人消費動向調査(15年4-6月期)」によると、中国人では「ショッピング」と答えた人が27.7%で最も多かった。その消費行動は「爆買い」と呼ばれるほど旺盛で、今年2月の「春節」では過去最大の訪日中国人が押し寄せた。同調査によると、14年、訪日中国人の消費額は合計で5583億円。1人当たりの金額では約23万円にもなる。約2兆円の旅行消費のうち4分の1以上は中国人によってもたらされている。

観光の定番は東京から大阪までの「ゴールデンルート」だ。成田空港や羽田空港から入国し、銀座と浅草、箱根と富士山を観光し、名古屋で1泊。新幹線に乗って京都を訪ね、大阪から出国する。この4~6日間のルートは、10年以上前からある定番で、初めて日本に来た中国人の多くがこのルートを選ぶ。前出の観光庁調査によると訪日中国人のうち「日本は初めて」は74.1%だった。一方で、25%以上の「リピーター」は、違うルートでの観光を希望している。その多くは都市部に住む富裕層である。